エンジン特性には数値に表れない「味わい深さ」も増している


 新型BRZ・Rグレード(6速MT)を購入したマリオ高野。8月30日に納車されて約半月、走行距離3000kmを後にした時点で感じたポイントを5つに絞り報告する。
 

1)エンジンは「キャラ変」する


 新型FA24エンジンは、排気量拡大に伴うトルクアップが印象的だが、味わい深さも増している。初代モデル同様、他のSUBARU車の定番装備であるSIドライブが付かず、走行モードの切り替えはできないものの、アクセルワーク次第でさまざまな表情を見せてくれるのだ。ゆっくりとスロットルを開いて走らせると極めてジェントルな回転フィールが得られ、燃費も向上。高速道路では80~100km/hで定速巡行をすると平均燃費は18~19km/Lを記録することも難しくない。

 



 穏やかなアクセルワーク時は、アクティブサウンドコントロールによる演出音も最小限にとどまり、高い静粛性を保ったまま巡航できる。これは”なまし制御”と呼ばれる、スロットルの開き加減によって追従性を穏やかにするトルク特性によるところが大きい。

 そしてスロットルを強めに開くと、スイッチをスポーツモードに切り替えたかのように俄然活発となり、3000回転あたりからサウンドも炸裂。フラットながらメリハリのきいたトルク感が7000回転付近までしっかり盛り上がる。まるで、ドライバーの意思に応じて瞬時に切り替わる走行モード切り替えシステムのように感じられるのが面白い。

 



 一方、アイドリング状態からほんのわずかにアクセルを踏んだ際の反応はかなり控えめだ。これは意図的なもので、高齢者や運転初心者が乗ることも想定した、大量生産車ならではの万人向けセッティングのひとつと言える。市街地でゆっくり走らせているときなど、穏やかに走らせている状況でヒール&トゥをするとエンジンの反応が悪いと感じる場面があり、つねに活発なレスポンスを求めるドライバーにとっては不満となってしまうかも知れない。

 新型BRZに限らず、最近の国産車のMT車で良く感じられるものでもあるが、この手の不満は信頼できるチューニングメーカーによるマッピング変更を受ければ簡単に解消するので、気になる人はECUチューニングの開発が進むのを待とう。
 

2)シフトフィールは全開走行時が一番気持ち良くなる


 ギヤボックス自体はキャリーオーバーながら、強度アップとシフトフィール向上のための大改良を施した6速MTギヤボックス。各ギヤからニュートラルに戻す際の反力の強さが印象的なシフトフィールだが、市街地を軽く走らせるような領域では、この反力の強さがやや過剰気味に感じられることがある。街乗りだとシフトフィールは微妙かも? と感じることがあるのだ。

 しかし、新型BRZの6速MTは、エンジンを高回転域まで目一杯使って走らせるような状況になると俄然手応えが良くなる。サーキットでの全開走行時は最高に気持ちの良いシフトフィールとなり、変速ミスを起こしにくい操作性に仕立てられていることも実感できるのだ。

 



 新型BRZは、86/BRZワンメイクレースなどでの競技ユースも強く意識して開発されているので、エンジンとミッションは全開走行時に一番良好なフィーリングのピークが来るようになっているところがある。慣れればタウンスピード領域でも気持ちの良いシフトフィールが得られるコツがつかめるのだが、ディーラー試乗などでシフトフィールがイマイチだと感じた人は、エンジンをしっかり高回転まで回せる状況で再確認して欲しい。
 

3)タイヤに依存しない走り! とはいえ上級Sグレードがオススメ


 車両本体価格308万円のRグレードは17インチホイールを装着。タイヤは旧型モデルと同じミシュランのプライマシーHPとなるが、基本的な性能や乗り味は、上級のSグレードとほぼ同じと思っていい。低重心で好バランス、屈強なボディ剛性をもつ車体ならではの痛快な旋回フィールなど、新型BRZの大きな美点である物理的な素性の良さは変わらず味わい尽くせる。

 ただし、18インチホイールとパイロットスポーツ4を装着するSグレードでは、より確かで強いグリップ感を伴うのは間違いなく、高速域での乗り心地もさらに優れるので、総合的にはSグレードの方が高性能車らしさがあり、動的な質感もより上質なものになる。

 



 また、Rグレードの17インチホイールはデザイン性は良く、表面はハイラスター処理が施されているので、コーティングが施工しやすいというメリットもあるのだが、Sグレードと並べると明らかに車高が高く見えてしまうなど、ビジュアル面では不満を抱く部分もある。グレードの価格差は約18万円であり、内装の加飾もずっと豪華になるので、ホイールを交換する予定のない人は迷わずSグレードを選ぶことを強くオススメしたい。
 

4)想像以上にAWDっぽい安定感を発揮する


 AWDを得意とするSUBARUのクルマということもあり、FRながらまるでAWDのような安定感が得られる方向にセッティングされた新型BRZ。試乗会などでは腕利きのジャーナリストからもそのように評価されたが、長年にわたりSUBARUのAWDに乗り続けてきた筆者としても、新型BRZの「AWD感」は予想以上だ。

 



 高速走行中に大雨に見舞われて路面のμが下がり、SUBARU以外のFRスポーツ車、または旧型BRZでも走行安定性の低下を感じてペースを落としたくなるような状況でも、新型BRZはAWDのSUBARU車とほぼ同じ感覚で駆け抜けられる。低μ路でも沈み込みながら粘るリヤタイヤの落ち着きっぷりと、まるで駆動力が伝わっているのかとさえ思える前輪の確かなグリップ感により、悪天候下でも絶大な安心感を伴うのだ。

 長距離移動中、悪天候に見舞われることを想定してAWDばかり選んできた筆者も、新型BRZなら雪シーズンも含めた通年でなんの不安もなく過ごせそうだと感じている。

 

5)STIドライカーボンリヤスポイラーの効果は絶大


 新型BRZはモータースポーツ活動で得られた技術を元にエアロダイナミクス性能が高められ、ノーマルの状態でも極めて優秀な高速ダイナミクス性能を発揮。この空力性能をさらに高めてくれるエアロパーツがディーラーオプションで用意されており、筆者は今回、STIドライカーボンリヤスポイラーを単体で装着。本来は、フロントやサイド部分のエアロパーツによる整流効果と相まって真価を発揮するのだが、筆者はリヤスポイラー単体の空力向上効果を味わうべく、フロントやサイド部分のエアロパーツはあえて装着しなかった(本当は予算が尽きた)。

 



 まず、STIドライカーボンリヤスポイラーはビジュアル面でのインパクト増大効果が強烈だ。吊り下げマウントタイプの巨大なウイングは、やはり圧倒的な存在感を発揮する。スワンネック式のリヤスポイラーがディーラーで買えるのはおそらく世界初だろう。STIのドライカーボンリヤスポイラーの安定性向上効果は旧型モデルでも実感していたが、新型BRZはボディそのものの空力が良くなったので、スポイラー効果は旧型ほどではないかもしれないと予想したものの、高速域での安定性向上効果は本当に絶大で、これまでに乗ったどのSUBARU車よりも高速クルージングが安楽になった。

 



 MTにはアイサイトがつかず、リヤスポイラー購入予算に全力を投じたためカーナビも未装着のまま(つまりオーディオレス)なのだが、ロングドライブがまったく苦にならない。半月で3000kmを走ったことが、ロングドライブの安楽さを雄弁に語っているとも言えるだろう。納車1カ月で5000kmを超えるのは確実。年間6万キロペースになってしまっているので、そろそろ別のクルマに乗る機会を増やすつもりでいるが、新型BRZはそれだけ走りが楽しいクルマということである。

Text:マリオ高野

提供・WEB CARTOP

【関連リンク】
スバル車ならなんでも大好き……なハズのスバリストからも見放されたスバル車3選
あの時買っておけば……スバリストが悔やんでも悔やみきれない垂涎の限定車トップ3
ユーザーのためにもターボ化はなし! GR86&BRZがNAのまま排気量拡大でパワーアップを図ったワケ
【スバリストが選ぶ】歴代最強のスバル「WRX」はこれだ!
「乗りたい……」日本のスバリストが涙! 喉から手が出るほどほしい「国内未導入」のスバル車3選