ウチの隣に「道路族」が引っ越してきた。響き渡る子どもの声、謎の爆音に「迷惑でしかない…」と嘆き

車や自転車が通行する道路上で子どもたちを遊ばせる大人たち。それをネットスラングで「道路族」と呼んだことから、近年「近所迷惑な存在」として道路族の名が一般に定着しつつあります。道路族に悩まされているという方からお話を伺ってみました。

車や自転車が通行する道路上で子どもたちを遊ばせる大人たち。それをネットスラングで「道路族」と呼んだことから“近所迷惑な存在”として「道路族」の名が一般に定着しつつあります。最近では、この「道路族」の出没スポットが分かるwebマップまで作られていて驚くばかり。
 

「子どもは騒いで大きくなるもの」と擁護する人もいれば、「だからといってうるさくしてもいいわけではない」と否定する人もいて、今や「道路族」は日本中を巻き込んでの論争になっていると言っても過言ではありません。しかし、実際に迷惑を被っている人たちの声は、意外と届いていないもの。そこで今回は、実際に「道路族」に悩まされているという方からお話を伺ってみました。

「迷惑でしかない」。寝たきり高齢者を介護する女性の証言

東京在住の隆子さん(仮名・45歳)は、高齢になった父親の介護のため、結婚してからも続けてきた仕事を3年前に退職。父親が建てた戸建てで同居することになりました。戸建てとはいえ都心のこと。大きな物音を立てないよう、隣近所に配慮する日々だといいます。しかしそうした静寂を破る家族が近隣に引っ越してきました。
 

「幼稚園~小学生くらいの男のお子さんが3人いるご家族なのですが、平日は学校が終わったであろう14時頃から20時くらいまで、土日祝日は早朝からずっと、家の前の道路で遊んでいるんです。狭い路地で、車の通行もほぼない私道なのですが、それがアダになったんでしょう。楽しそうな笑い声だけなら許せるのですが『ギャー』とか『キー』とかいう超音波のような甲高い声を出して、近隣の壁や電柱をプラスチック製のバットでバンバン叩いてまわるんですよ。それがもう、本当にうるさくて……」
 

寝たきりの父親が「うるさくて眠れない」と言うので、隆子さんは寝室の窓を二重サッシに変更。道路に面する壁には防音と防寒を兼ねて全面にスポンジを張りましたが、気休め程度にしかなりませんでした。
 

さらに父親の部屋を道路から離れた場所にすることも考えましたが「死ぬときは自ら丹精を込めた庭を見ていたい」と望んだため、部屋を移すことができなかったといいます。
 

何度も何度も繰り返し「病人がいるから静かにしてほしい」とお願いしましたが、相手の家族は聞く耳を持たず。だったらせめて17時を過ぎたら静かにしてほしいと伝えましたが「子どものいない人が何言ってんの?」と。隆子さんはけんもほろろに追い返されてしまいました。
 

「『他人の言葉に耳を傾けるような人なら、そもそも、自分の子どもたちを道路で遊ばせたりしないんだよ』と父に言われ、思わずため息をついてしまいました。コロナ禍で外で遊ぶ時間が減ったのか、少しだけ静かになったのが幸いです。でも、コロナ禍が落ち着いてしまったら、またあの奇声が聞こえるかと思うと……。父には申し訳ないのですが、父亡きあとは、すぐに家を売りに出そうと思っています」
 

井戸端会議に精を出す、迷惑高齢者の「道路族」

「道路族って、子どもとその親のことを指すのだと思っていました……」
 

そう語るのは、神奈川県在住の季実子さん(仮名・38歳)。5年ほど前に建売住宅を購入し、家族揃って引っ越してきたのですが……。
 

「我が家のリビングが面している道路の脇に、町内美化用の小さな花壇があるんです。家を購入するときは、花壇が近くにあるなんて!リビングから花壇が見えるなんて!と、メリットとして捉えていたのですが、いざ引っ越してみたら、それが間違いだったことに気づきました」
 

ため息まじりに話し始めた季実子さんですが、四季折々の花が溢れる花壇に、どんな問題があったのでしょうか。
 

「引っ越した後に知ったのですが、その花壇の周りに近所の高齢者が6~7人くらい集まり、花壇に腰をかけ、毎日のようにワイワイと井戸端会議をやってるんです。どうやらメンバーの中に耳が少し遠くなっている方がいらっしゃるようで、話す声がとんでもなく大きくてうるさいんですよ。朝のゴミ出し時間に集まっては、2時間近くペチャクチャ。昼過ぎに再び集まってペチャクチャ。リビングでゆっくりくつろぎたいのにうるさくて窓を開けることもかなわず、遮音性に優れたカーテンを閉じたまま、彼女たちが家に帰るのを待つ日々です」
 

子どもが遊んでいるのなら苦情のひとつも言えそうなものですが、相手は高齢者。毎日のおしゃべりが彼女たちの大切な生き甲斐なのかもしれない……と思うと、誰にも文句を言えずただひたすら耐えているのだと季実子さん。
 

「絶え間なくネガティブな感情が湧き上がってきて、自分にも嫌悪感を抱いています。せっかく買った家なのに、今はもう出て行きたくて仕方がない、だけどそんなお金があるはずもありません。夫に相談したら『パートにでも出て、家にいる時間を減らせば?』という頓珍漢な答えが戻ってきて驚きました。どうして住人が我慢をし、わざわざパートにまで出なくちゃならないのか……意味がわかりません!」
 

子どもたちをのびのびと遊ばせたい。みんなで情報交換をしたい。それくらい許してほしい――そうした想いを抱えている人も少なからずいらっしゃることでしょう。けれども、誰だって快適に、心地よく暮らす権利があるのです。こうした問題を解決するためには、公園をあれこれ規則で縛ることなく子どもたちに開放したり、高齢者の居場所となるよう公民館を開放したりするなど、行政側の配慮も必要になるでしょう。簡単に解決することではないのでしょうが……。
 

こうした「騒音」が思わぬかたちで他人を傷つけていることに“気付ける”人が増え、円満な解決を迎えることを祈るばかりです。

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