欧米でも……マスク着用をめぐるトラブル続々

日本では、少し前に飛行機やホテルでマスク着用を拒否した男性のトラブルが話題になったそうですね。こちらヨーロッパでも、長距離列車でマスク着用を拒否した乗客が降車させられ、罰金刑に課せられた事件や、マスク未着用者の乗車を拒否したバスの運転手が暴行死した事件が発生。アメリカではマスクをしない客の入店を阻止した警備員が射殺される事件など、さらに酷いケースが発生しているようです。
 

欧米人が「マスクを嫌う」理由

欧米人のマスク嫌いは、コロナ禍を通じて日本でも徐々に認知されつつあるのではと推測しますが、彼らがマスクを忌避する理由のひとつに、日本人のように「目で相手の心情を推し量る」のではなく、「相手の口を見てコミュニケーションを取る」スタイルであることがよく挙げられます。では、欧米人はなぜ口元に注目するのでしょうか? 理由を考えてみました。

1. 口が大きくて、相手の考えを読みやすい
ヨーロッパに暮らしていると、日本人よりも口の大きい人が多いように見受けられます。紙・ウェブ媒体でモデルやセレブリティたちの画像を調べてみると、日本人女性が笑ったときに見える上の歯の数は6~8本が多いのに対し、欧米人女性(主に見かけたのはコーカサス系とアフリカ系)では8~10本と、多めのケースが目立ちました。

もちろん歯の大きさの違いや個人差はありますが、全般的に欧米人の方が口がパカッと横に開いた骨格である印象でした。特にアメリカではビッグスマイルが魅力的とされているようですし、チャーミングな笑顔が今も昔も人気のジュリア・ロバーツなどは上歯がなんと12本も見えており、これは日本ではなかなか見かけないレベルです。かつてお歯黒と扇子で口元を隠していた我々日本人とはかなり対照的ですよね。

2. 会話時に口をダイナミックに動かす
話す言語によって使用する表情筋の数と量が異なるというのはよく聞く話で、動かす筋肉量はドイツ語で80%、英語が60%、対する日本語は僅か20%という噂もあるほど。

そういえば、かつて私がスペイン語圏に留学していた際、現地の友人から「あなたは口をあまり動かさずに喋る。もっと大きく動かさないとスペイン語に聞こえないわよ」と言われ、カルチャーショックを受けた記憶があります。加えて、ウィーンで息子が通っていた幼稚園の保育士にも、「息子さんもあなたも、ドイツ語の発音に日本語の癖が出ているわね。口の動き方が小さくて、少し聞き取りにくいの」と指摘されたこともありました。

やはり、ヨーロッパ言語を話す人々は、かなりエネルギッシュに口輪筋その他を駆使している模様で、顔の下半分を隠されるとコミュニケーションに支障をきたしかねないのでしょう。しかも、私自身もマスク姿で会話していて気付いたのですが、ドイツ語を話しているときの方が日本語で話すよりも、口とマスクとの摩擦が遥かに多くて不快極まりない!

こういった物理的原因も、もしかするとマスクが敬遠される理由のひとつなのかも知れません。

3.言語による自己主張の重要性
学校の授業や仕事の会議、果てはプライベートな会合などでも、自分の意見やアイデアを積極的に主張しないと、得てしてないがしろにされがちな傾向もあります。

日本では「沈黙は金」であるのに対し、英語には”The squeaky wheel gets the grease.”(きしむ車輪は油を差してもらえる=自己主張すれば、見返りを得られる)という諺もあるくらいですし、欧米において明確な意思表示は避けては通れない道なのでしょう。そして、言語による自己主張に不可欠な「口」は、大きな役割を果たしているのではないでしょうか。



これまで、マスクという新しい習慣を頭ごなしにはねつけ、駄々をこねているだけのようにも見えた欧米人の反応ですが、もしかするとそこには案外深い理由が横たわっているのかも知れませんね。