再開後はマジョルカの大黒柱に

写真:アフロ

日本サッカー界の未来を背負う19歳が、充実のシーズンを終えた。スペイン1部リーグのマジョルカに在籍する久保建英(くぼ たけふさ)である。

2019年6月にJ1リーグのFC東京からスペインの超名門レアル・マドリードへ移籍したこの攻撃的なプレーヤーは、同年8月に同1部リーグのマジョルカへ期限付き移籍した。実戦経験を積むための武者修行だ。

10歳から13歳まで名門FCバルセロナの育成組織で過ごした久保は、スペイン語を不自由なく操る。コミュニケーションスキルに加えて環境適応能力も高く、マジョルカでは加入直後から試合に絡んでいった。

今年2月からはスタメンに定着していたが、新型コロナウイルスの感染拡大でリーグ戦は中断となる。好調を持続していただけに不運な中断だったはずだが、3カ月強の中断期間にパワーを充電し、久保は6月中旬の再開を迎えた。

およそ40日間で11試合を消化する超過密日程のなかで、久保は再開前を含めると13試合連続でスタメン出場した。6月4日に19歳になったばかりの日本人選手は、マジョルカのレギュラー格では最年少である。それでも、ボールを持ったら失わず、局面を高い確率で打開する「TAKE」は、チームに欠かすことのできない選手となった。

再開後は試合中の選手交代が3人から5人に増えたのだが、久保が早い時間に交代する試合はほぼなかった。過密日程を考えれば無理はさせたくないが、できる限りピッチに立ってほしい選手だった、ということである。
 

チームが違えば得点も増えたはず

リーグ戦では全38試合のうち35試合に出場し、4得点を記録した。得点が少ない印象があるかもしれない。しかし、とくに再開後は久保をふたりでマークするチームが増えてきたため、シュートチャンスに恵まれなかったのは事実だ。

「4」とも「5」とも報道されているアシストも、チームメイトがしっかり決めていれば確実に2ケタに達していた。20チーム中19位で2部降格となったマジョルカの戦力を考えれば、彼が残した数字は決して悪くないと言える。

マジョルカの2部降格によって、新シーズンの久保は新たなチームでプレーするだろう。保有元のレアル・マドリードへの復帰は、7月中旬時点では可能性が低いと見られる。EU圏外選手の登録枠は「3」で、レアル・マドリードはブラジル人選手にその枠を当てているからだ。久保以外にも多くの選手が、他クラブに期限付きでレンタルされている。

レアル・マドリードのようなビッグクラブは、国内のリーグ戦はもちろんヨーロッパのクラブ王者を決めるチャンピオンズリーグ(CL)でも優勝を義務づけられる。若い選手に経験を積ませるすき間は見つけにくい。そのため、将来的に戦力と成り得る選手は他クラブへ貸し出し、経験を積ませることをチームの方針としている。
 

新天地はスペイン国内か、それとも……

マジョルカでチームトップと言っていいパフォーマンスを見せたことにより、久保に興味を示しているクラブは数多い。スペイン国内ならば、ヨーロッパ各国の上位チームが集うヨーロッパリーグ(EL)の出場権をつかんだレアル・ソシエダが有力視されている。マジョルカは国内リーグの戦いに専念するクラブだったが、次はELも戦う規模のクラブで国際的な経験を積んでもらう、というのがレアル・マドリード側のプランだ。

久保に興味を示しているのは、スペインのクラブだけではない。イタリアやフランスのクラブからもオファーがあると報道されている。公式なものと非公式なものが混ざっているが、噂も含めて様々なクラブが新天地の候補にあがるのは、久保の去就がそれだけ注目されているからに他ならない。日本人の「TAKE」は、ヨーロッパのサッカー関係者の多くが注目する存在なのだ。

スペイン1部リーグは、9月12日に新シーズンが開幕する。そのとき久保は、どのチームのユニフォームを着ているのか。スペインにいるのか、それともヨーロッパの違う国のピッチに立っているのか。彼がどのような決断を下しても、楽しみなシーズンとなるのは間違いない。