SMAPの歌詞は「僕ら」の響きが印象的だ。「僕ら」が恋人同士の君と僕をさすこともあれば、年齢や性別を超えた「みんな」をさすこともある。「僕ら」に自分も含まれると、なんだかうれしくなって元気が出るもので、こんな時代だからこそ、そんなSMAPの曲を聴きたくなるのかもしれない。
 

世界で一番「僕ら」が似合うSMAPの歌詞の深さ

休刊した『広告批評』でもSMAPが登場している

その昔、やんちゃな男の子に憧れてしまう時代と言えばいいだろうか、忌野清志郎や世良公則に「おいら」と言われ胸をキュンとさせていた私にとって、大人になって聴くSMAPの「僕ら」は新鮮だった。とにかくさわやかである。

そして彼らの2人称は「君」。ここもステキである。「あなた」と呼ばれると気恥ずかしいし、「あんた」と呼ばれると、ちょっとイラっとするが、「君」と呼ばれると、すんなりと青春の甘酸っぱさにタイムスリップしてしまう。なんとも不思議なものである。

ビジネスマンが社会問題や経済問題を語るときも「われわれ」「私たち」じゃなく「僕らはこれから、そこをやっていかなくちゃいけないでしょうね」などど言うと、たとえおじさんであっても、つい加点対象としてしまう。「僕ら」は魔法のことばなのかもしれない。

そして、それ以上にSMAPの「僕ら」は特別だ。常に希望という光をまとって「僕ら」の世界へ誘い、全世代に向けられるSMAPのメッセージ性と、時代を彩るクリエーターたちの洗練された言葉が溶け合って、私たちに未来を見せてくれるからだ。

『Triangle』(作詞・作曲:市川喜康)の

僕の目が キミの手が 僕らの声が
それぞれ異なっているように
自由でこそ 生命だから

には、そのスケールの大きさに涙が出るし、未来を生きるための手がかりを感じる。SMAPだからこその楽曲である。

『この瞬間、きっと夢じゃない』(作詞・作曲:Hi-Fi CAMP)の

僕らは いつだって 一人じゃ無いんだよ Please Stand Up いつも感じてたくて 

僕らは 散らばった 夢の欠片集め ほらSunrise 高く羽ばたいていこう

は、心にリフレインしながら、乗り越える勇気を教えてくれる。

『Dear WOMAN』(作詞:麻生哲朗 作曲・編曲:平田祥一郎)では、時代をリードするキラキラした風が心地いい。

WELCOME ようこそ日本へ 僕らが生きてる時代へ
舞い降りた偶然に 心からありがとう
君が 君でいることが とても美しい

まさに時代を表現した愛にあふれた1曲であり、彼らが歌うことで笑顔になれた女性は多いだろう。
 

全世代に向けられる魔法のことば「僕ら」の持つメッセージ

2002年発売の「Drink!Smap!」も佐藤可士和のデザイン

「僕ら」は見た目の若さではなく、心の若さが表れた一人称。芽吹く可能性は年齢に関係なく誰もが持ち合わせているものであり、若い世代が使う「僕ら」から、さらに成熟した「僕ら」がSMAPには存在している。

SMAPの魅力は大人の遊び心。5人それぞれが衣装として着るスーツにも、それぞれの個性で着崩す巧さを感じるし、ダンスにも個性が生きている。「僕ら」にはそんな人生を謳歌する生き方みたいなものも感じられ、そこも魅力だ。

SMAPとして不動の存在となった彼らの社会性は計り知れないが、彼らはそこにみごとに応えていく。教科書通りの優等生ではなく、あふれるユーモアやアウトロー的な空気感、枠にはまらないアプローチを織り交ぜながら、SMAPらしく歌い上げた。

『JOY!!』(作詞・作曲:津野米咲)ではサラリーマンを含めたお疲れ気味の世代に

あの頃の僕らを 思い出せ出せ

と明るく呼びかけ、『夜空ノムコウ』(作詞:スガシカオ 作曲:川村結花)では

あれからぼくたちは 何かを信じてこれたかなぁ…

と、感慨深く問いかけている。SMAPの曲はメッセージ性が強い。しかし、そこには「こうあろう」という強さより「こんなかんじでいいんじゃないかな」と肩のチカラを抜くやさしさを感じることが多い。それはまるで魔法のように。

若い世代だけでなく全世代を包み込むから、SMAPの「僕ら」が届く人が多い。NHKの『紅白歌合戦』でSMAPが登場するとおじいちゃん、おばあちゃん、ちびっこたちも笑顔になって驚いたものだ。SMAPは、全世代向かう最大公約数としてのエンターテインメントを実現した希少な存在だったと改めて感じている。
 

この時代だから聴いてほしい、僕らの SMAP

今だからこそ聴きたい曲がたくさんある

SMAPの曲はいつだって未来を向いている。切なさややるせなさも歌詞に出てくるけど、明日という日の力強さを感じさせてくれるし、時には祈りにも似た言葉で私たちを励ましてくれる。『夜空ノムコウ』では、

全てが思うほど うまくはいかないみたいだ

けど

夜空のむこうには もう明日が待っている

ことで、私たちに光を見せてくれる。

『ありがとう』(作詞・作曲:MORISHINS')では、

小さな小さな幸せでいい
僕らにずっと続きますように…

大きな大きな愛情だけで
僕らはきっと強くなれるんだ

と、未来に想いをつないでいる。

今だからこそ、SMAPの曲を聴いてほしい。あの時代のワクワクがよみがえり、「僕らはきっと乗り越えられる」と思えてくるはずだから。