移動が多くなる季節。「新幹線」は安全?

日本の大動脈「新幹線」の新型コロナ対策について取材しました(写真提供:JR東海)

春は就職や転勤、あるいは入学等で、移動が多くなる季節。新型コロナウイルスの流行が心配されますが、帰省や出張、自然の多い地域への旅を控えている方もいらっしゃることでしょう。
 

そんな時、気にかかるのが移動手段の安全性。未知のウイルスであることから「絶対安全」のお墨付きを求めるのは難しい状況です。心がけるべきは、安全性やリスクを把握・判断できる正しい情報を得ること。そのうえで必要な対策を自らも行い、自分の感染予防はもちろん、他の人へうつさないようにすることだと感じます。


今回は日本の大動脈「新幹線」について、JR東海への取材をもとに、JR各社(※)へも追加ヒアリングを実施。換気・清掃・新型コロナへの取り組みに焦点をあて紹介します。
 

※取材協力:JR北海道JR東日本JR東海JR西日本JR九州
 

窓は空かない新幹線。換気能力は意外と優秀

厚生労働省は新型コロナウイルスの専門家会議の結果を受け、3月19日にホームページで「「密閉」「密集」「密接」を避けて外出を」と提言しています。そんな中、換気が重要だといわれており、新幹線について「窓は開かないが換気は大丈夫か?」と心配をされている方も多いのでは?


そもそも、感染症は新型コロナウイルスに限ったことではありません。普段から感染症への対策は必要であり、国では換気に関する基準をさまざまな場所に設定しています。
 

車両についても例外ではなく、国により換気の車両設計基準が定められており、日本で運行するすべての新幹線車両について「その基準を十分満たすように設計されている」(JR各社)とのこと。また走行中・停車中に関わらず、換気は常時行われており、外気を車内へ取り入れるのも各号車ごとに自動制御でされているそう。


「東海道新幹線の場合、計算上は約6~8分に1回は、車内の空気が新しい外気とすべて入れ替わる」(JR東海)といい、他の新幹線についても「換気の機能としては同程度の精度がある」(JR各社)と回答が得られました。イメージとは異なり、新幹線の換気能力は優秀で、密閉空間にはあたらないと考えてよさそうです。


加えて新幹線の車両は、シートピッチも広く、頭上も荷物置き場として空間が確保されています。そのため「お客様(人)の密度が他の乗り物と比較して小さい」(JR東海)といい、移動手段のなかでは「密集」のリスクも比較的低い方であると考えてよさそうです。


さらに乗車時にはマスクをする、小声で話すなど、一人一人が気を付けることで、「密接」のリスクを抑えることもできるでしょう。
 

手が触れる箇所は自衛も。新幹線の清掃・消毒は?

新幹線の清掃や消毒はどのように行われているのでしょう?(写真提供:JR東海)

新型コロナウイルスの感染ルートは、飛沫感染と接触感染の2つと考えられています。そこから考え、新幹線利用時に気を付けるべきは、トイレや洗面所の利用時(特にドアノブなど)、座席のテーブル等といわれています。それでは新幹線の清掃や消毒はどのように行われているのでしょう?
 

▼日常の清掃状況

まず日常の清掃状況のJR各社の回答から見てみましょう。
 

「テーブル、手摺、握り棒、壁、戸、荷棚等(窓ガラス、鏡は除く)について、従来湿布拭きとしている水を一般的に殺菌効果のあるアルカリイオン水に変更し、拭き作業を実施しています」(JR北海道)


「特定の車両基地に入ったタイミングで(新幹線の場合、1日~4日間隔)、テーブルやひじ掛け等、お客さまが触れる箇所に対して消毒を行っております」(JR東日本)


「日々の車両清掃で、一般的に殺菌効果のあるアルカリ性電解水による清掃を行い、客室内の衛生管理に努めています」(JR東海)


「当社規則にのっとり、お客様に車内で快適に過ごしていただけるよう清掃を行っております。掃き掃除・拭き掃除・水拭き・汚れが強いときは薬剤使用での清掃を行います」(JR西日本)


「日々の車両基地内の清掃おいて、トイレを中心に除菌効果のある薬品を使用した清掃を行っています」(JR九州)
 

▼新型コロナウイルスへの対応

上記に加え、新型コロナウイルスへの対応として、JR各社が開始したのが車内の消毒です(JR北海道は3月中に対応)。ポイントは以下の通りです。
 

  • 消毒する箇所:トイレのドアノブ、スイッチなど乗客や乗員が触れる可能性の高い箇所
  • 消毒の方法:次亜塩素酸ナトリウム液などの消毒液を利用
  • 消毒の頻度:毎日(多くは車両基地で実施)


消毒の状況を考えると、朝には綺麗な状態であることが想像できますが、自分が乗車するときの状態まではわかりません。新幹線に限ったことではありませんが、トイレ利用時の手洗いの徹底やアルコール消毒の実施。座席のテーブルやひじ掛けは着席時にアルコール入りの除菌シートなどで拭いてから利用するなど、各自で納得のいく自衛策もあわせて講じるとよいでしょう。
 

その他の新型コロナウイルスへの取り組み

他にもJR各社では、新型コロナウイルスの広がりをうけて、「駅員や乗務員など接客に従事する社員にマスクの着用を義務づけている」(JR各社)、「接客・清掃業務などに関わる関係会社社員に対しても同様に対応」(JR東海)とのこと。
 

お客様向けの手指用消毒液についても「新幹線全駅に設置をしている」(JR東海、JR西日本、JR九州)、「新幹線全駅および在来線主要駅に設置」(JR東日本)、「主要駅など計17カ所に配置し、設置駅の出改札カウンターなどは1日数回除菌シートで拭き取りを行っている」(JR北海道)と、こちらもすべてのJRで対応をしています。


またJR東日本は在来線での対応になりますが、ドアの開閉による換気に加えて「空調装置による喚気で定期的に外気を取り入れる」ことも定期的に行い、換気を積極的に行っているといいます。
 

「どこまでやれば安全か?」が現段階でわからない中ではありますが、鉄道各社もできることから取り組んでいることがわかりました。利用者側も、厚生省が発信している新型コロナウイルスのQ&Aなども参考にしながら、自分で必要と思う対策も心がけることが大切です。
 

最後に、新型コロナウイルスの影響で、3月、そして4月以降、GWにかけても、運休等の発表がされています。JR各社のホームページで、対象列車や対応は掲載があるので、乗車や予約を予定されている方は確認をしましょう。
 

例えば、東海道新幹線では、3月19日(木)~3月31日(火)、4月3日(金)~5月6日(水祝)に増発を予定していた「のぞみ」号の臨時列車を中心に、一部の列車の運休を発表しています。運休する列車の特急券、および乗車券類については、変更や払い戻し等の手続きを案内しているので、該当する人は確認を。また、新型コロナウイルスの影響により旅行を取りやめる場合にも、JR東海では手数料なしで払い戻しの対応をしているとのこと。詳しくはHPを確認のうえ、駅係員に申し出るようにしましょう。