大活躍必至!? 同一リーグ移籍を果たした外国人選手の成績は?

近年のプロ野球界では外国人選手の移籍も顕著に。中でも目立っているのが、前所属球団と同じリーグに所属するチームへの移籍。かつての味方が一転してライバルに変わるわけですが……。果たしてどんな成績を残しているのでしょうか?

同一リーグへの移籍が最近のトレンドに

以前までとは異なり、最近のプロ野球界では選手の移籍がより活発に。中でも顕著なのが外国人選手の移籍です。それまでは所属球団を退団すると、アメリカのメジャーリーグをはじめ、国外のプロチームへ移籍するか故郷の国に帰ってしまうことがほとんどでしたが、最近では所属先のチームから離れても、別のNPBチームへと移籍するケースが増加しています。その中でも、特に増えているのが同一リーグのチームへの移籍です。

主力選手の移籍でも珍しいとされる、前所属球団と同一のリーグに所属するチームへの移籍。かつての所属チームからしたら、今まで主力として活躍していた選手が突如としてライバルチームに移籍することになるので決して好ましいわけではありませんが、移籍する外国人選手たちにもメリットばかりではありません。かつての所属チームに苦手なコースや得意な球種などのデータはすべて筒抜けとなっているだけに、対戦時には抑え込まれてしまう可能性も決して少なくないのです。

そこで、近年同一リーグのチームへと移籍した選手たちはどんな成績を残しているか調べてみました。

デスパイネはタイトル獲得。チームの核となった選手も!?

検証したのは過去5シーズン(2015年~2019年)の間に、以前の所属球団と同一リーグのライバルチームへと移籍した外国人選手の成績。調べてみると、この5年で投手野手合わせて9選手が該当。まずは野手の成績から見ていきましょう。

▼同一リーグのチームへ移籍した外国人野手の成績(2015年~2019年)

年度 選手名 球団 前年所属球団 成績 前年成績
2015年 ペーニャ 楽天 オリックス 打率.268 17本塁打 40打点 打率.255 32本塁打 90打点
ロペス DeNA 巨人 打率.291 25本塁打 73打点 打率.243 22本塁打 57打点
2016年 ルナ 広島 中日 打率.272 5本塁打 34打点 打率.292 8本塁打 60打点
2017年 デスパイネ ソフトバンク ロッテ 打率.262 35本塁打 103打点 打率.280 24本塁打 92打点
2018年 ゲレーロ 巨人 中日 打率.244 15本塁打 40打点 打率.279 35本塁打 86打点
2019年 レアード ロッテ 日本ハム 打率.248 32本塁打 89打点 打率.233 26本塁打 65打点

起用法が安定しなかったペーニャやルナ、そしてコンディションが整わなかったゲレーロらが前年よりも成績を下げているので半分半分な印象ですが、反対にキッチリとレギュラーとして固定された3選手はいずれも好成績をマーク。中でも大成したのがロッテからソフトバンクへと移籍したデスパイネでしょう。

ロッテ時代から4番を打ち、移籍前年もチーム最多の24本塁打を放ったが、デスパイネは2016年でロッテとの契約が満了すると翌シーズンからはソフトバンクと契約。すると打率こそ低いものの、ここぞというところで長打を放ちチームの勝利に大きく貢献。結果として移籍緒戦の2017年は35本塁打、103打点を記録して本塁打王、打点王の二冠を達成。さらに日本シリーズでもチームにとって2年ぶりとなる日本一奪還のキーマンを務めました。

その他、巨人からDeNAへ移籍したロペスも同一リーグへ移籍して大成した選手の一人。打撃面ではもちろん、昨季途中まで一塁手としての連続守備機会無失策のNPB記録を作るなど守備でもチームになくてはならない存在になっています。

野手と比べると低調な印象の投手陣

続いて、同一リーグのチームへと移籍を果たした投手の成績を見てみましょう。

▼同一リーグのチームへ移籍した外国人投手の成績(2015年~2019年)

年度 選手名 球団 前年所属球団 成績 前年成績
2016年 スタンリッジ ロッテ ソフトバンク 8勝8敗 防御率3.56 10勝7敗 防御率3.74
2018年 アルメンゴ(※) ヤクルト 中日 一軍登板なし 6勝4敗 防御率2.30
2019年 ガルシア 阪神 中日 6勝8敗 防御率4.69 13勝9敗 防御率2.99

※アルメンゴは2017年、ジョーダンの登録名でプレー

この5年で3人が該当しますが、野手ほど好成績を残した選手はほとんどいません。唯一、先発ローテーションを守り切り、規定投球回に達したスタンリッジがいますが、前年の成績と比べるとやや物足りない印象が強いでしょう。

昨季も前年に中日で13勝を挙げたガルシアが阪神へと移籍しましたが、先発では思うような好成績を残せずに一時はローテーションから外されたことも。後半戦はリリーフとして存在感を見せましたが、本来の役割である先発ではイマイチ活躍できずじまい。これを見ると外国人投手の同一リーグ移籍は不安視したほうがいいかもしれません。

シーズン開幕後の外国人選手たちに注目

いかがでしたか? 過去の例を見ると、同一リーグ移籍へと移籍したロメロ(オリックス→楽天)は前年以上の活躍が期待できますが、中継ぎ投手のハーマン(楽天→ロッテ)は昨季よりも苦しむかもしれません。シーズン開幕後、チームにとって重要なキーマンとしてプレーすることができるか……。今季はこれらの選手から目が離せません!

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