息子のために避妊具を?義実家との二世帯同居で妻が見た“地獄”

平成28年。政府は「父母・夫妻・孫」の三世代同居の推進をはじめ、同居用の住宅を建てる際に金銭的な支援や税制面での優遇を行うと発表しました。「少子化」に歯止め、高齢者の介護も行えるようになる……そんな「愚策」に振り回された女性の衝撃の体験とは。

平成28年。政府は「父母・夫妻・孫」の三世代同居の推進をはじめ、同居用の住宅を建てる際に金銭的な支援や税制面での優遇を行うと発表しました。三世代同居を行うことで「少子化」に歯止めをかけ、高齢者の介護も行えるようになる……そんな「愚策」に振り回された女性への取材を通して、二世帯同居のリアルをお届けします。

それは「初めての経験」だった……

「26歳のときに2歳年下の夫と出会い、授かり婚をすることに。若かった夫には当時まるでお金がなく、その結果、義実家での同居になりました。義父母は大喜びで、政府の制度を利用して家を建て替え、玄関と水回りがすべて別の二世帯住宅を、利便の良い場所に建ててくれることになりました」

そう語るのは、現在、大阪府在住の梅原綾乃さん(28歳・仮名)。

「家が完成し、いよいよ引っ越しをすることになったのですが、家に行ってみてびっくり。玄関も水回りもすべて別になっていましたが、なぜかキッチンとリビングはどちらもひとつだけ。姑に聞くと『だって、お台所も別だったら一緒にいる時間がほとんど無いじゃない。ごはんくらい、一緒に食べましょうよ。ね?』と返されてしまいました。私自身、若かったし経験もなかったので、同居ってそういうものなのかな?と思い、そのまま引っ越してしまったんです」

しかし待っていたのは、思っていたのとは違う同居生活だったという綾乃さん。

「朝起きたときにはすでに朝食ができていて、夫はそれを食べて会社へ。夫と私の洗濯物も姑が勝手にしてしまうので、私がやることは何もありませんでした。何度も何度も『私たち夫婦のことは、自分たちでやりますから』と言ったのに、姑は聞く耳を持たず。勝手に私たちのエリアに入り、掃除・洗濯・模様替えをしてしまうんです。夫から言ってもらったこともあるのですが『○○ちゃん(夫)のためを思ってやっているのに……(涙)』と、かわされるばかり。夫もすぐに『母さんに勝手にやらせておけよ。別に、害になるわけじゃないんだろ?』なんて言うようになってしまいました」
 

息子のためにコンドーム? 止まらない姑の過干渉……

同居を始めた頃には、妊娠8カ月目に入っていた綾乃さん。出産するまでの間は、「もしかして、姑なりに私の身体を気遣ってくれているのかも?」と思っていたと言います。しかし、出産後も姑の過干渉は続きました。

「姑に先回りして洗濯をすると、いつの間にかすべて洗い直されていました。夫の好物の煮物を作って夫の帰りを待っていると、勝手に味付けを変えられていたこともあります。夫の通勤用の靴を磨いておいたのですが、『こんな磨き方じゃダメよ』ってやり直されました。とにかく、どんなことも、姑自身が管理しないと気が済まなかったんでしょうね。

ある日、新品のコンドームの箱が夫の引き出しに補充されていたのを見たときには、もう、乾いた笑いしか出ませんでした。だって私は妊娠中。そういう行為は、同居してから1度もしていないんですよ? 夫はそもそもコンドームを嫌がるタイプなので、自分で買ってくることはありえません。姑も、何を考えて夫用にコンドームを買ったのやら……」
 

姑の“魔の手”が、ついにベビーに!

すべての家事や夫の世話を姑に奪われ、結婚した意味を感じられず、自分という存在が忘れられたように感じていたという綾乃さん。することがないので、近所の公園や、マタニティママ向けの会合に出かけるだけの無味乾燥な日々を過ごしていたといいます。

子どもが無事に生まれ、しばらくは子どもの世話に忙殺されたという綾乃さん。さすがの姑も、子どもにお乳をあげることはできず、綾乃さんは久しぶりに味わった“誰かのためになれる自分”に酔いしれました。

「別居したい」と何度も思いましたが、安月給のご主人の稼ぎだけでは子どもを育てるためのお金を出すだけで精一杯。なんとか我慢して同居を続けようと思っていた矢先、ついに姑の魔の手がベビーに伸びたといいます。

「ある朝、隣で寝ていたはずの子どもがいなかったんです。あちこち探したら、姑が子どもをおんぶしながら朝食を作っていて……。思わず悲鳴を上げながら走り寄って、子どもを奪い返してしまいました。よく見ると、私が着せていた服を脱がして、夫のお古を着せていたんです。おむつも、私が使っていた紙おむつじゃなく、義母が手縫いした布おむつになっていました。そこでプツッと何かが切れて、その場で子どもの服とおむつを剥ぎ取りました。それを見ていた夫は『おまえ、何やってんだよ!』と呆れ顔。そんな夫に、私の愛情ゲージはマイナスになってしまいました」

お財布と携帯、そして子どもの着替えとおむつをカバンに詰め、隣の県で暮らしている姉の家に逃げたという綾乃さん。お姉さんの仕事先が弁護士事務所だったこともあり、その後はすべてお姉さんにまかせ、夫家族に一度も会うことなく、半年以上かかったものの、同居から1年経たないうちに離婚することができたといいます。

「同居なんて、頼まれてもするものじゃないですね」

と綾乃さん。現在は新しいご主人との間の子どもを妊娠中で、新しい義実家とはほどよい距離を保ちつつ、うまくやっているとのこと。

「紙1枚の契約で家族になって、“だから、仲良くしろ”って……そもそも、すごい乱暴な言い分ですよね。あと、これは私が感じたことなのですが……自分の息子のことを『〇〇ちゃん』って「ちゃん」付けする姑は、確実に子離れできていません。絶対ヤバいので、同居しないほうがいいです!」と綾乃さん。

同居をする前に、相手の性格をしっかり把握しておく。「ちゃん」付けしていないか、よくみておく……綾乃さんのように地獄を見る前に、私たちがしておくべきことは、なるほど、たくさんあるようです。

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