第95回箱根駅伝の見どころは?優勝候補も徹底分析!

いよいよ、第95回箱根駅伝(第95回東京箱根間往復大学駅伝競走、2019年1月2日・3日開催)が近づいてきました。ここでは前哨戦終了後の有力各校の動向や最新情報を加味した展望を紹介します。

いよいよ、第95回箱根駅伝(第95回東京箱根間往復大学駅伝競走、2019年1月2日・3日開催)が近づいてきました。
 

ここでは前哨戦終了後の有力各校の動向や最新情報を加味した展望を紹介します。
 

2019年の箱根駅伝、見どころは?

今回の箱根駅伝はルール等の大きな変更はありませんが、第95回ということで記念大会ということで、出場チームが23チームと、いつもより出場チームが多くなっています(いつもは21チーム)。その内訳は、前回の箱根路でシード権を獲得した10校、予選会を突破した11校、関東インカレ枠1校、関東学生連合の計23チームとなっています。
 

2020年の箱根駅伝では出場校が21チームに戻る可能性があります。そのため、今回の箱根駅伝で総合上位10位以内に入り、翌年の箱根駅伝出場権=シード権を得られなければ、2019年の予選会で10の枠を争わなければなりません。
 

シード権がないとどうなる?

シード権がある大学は、夏休み期間中(8月〜9月)に余裕を持ったスケジュールで練習を行うことができ、箱根駅伝を見据えた走り込みを行ったり、避暑地などでスピードを鍛える練習を行うことが多いです。そして、秋口に各地で行われる記録会(タイムを狙うためのレース)などに出場し、5000mや10000mで自己記録を狙い、その流れで出雲駅伝や全日本大学駅伝に挑みます。
 

一方の総合11位以下の大学は、10月に行われる箱根駅伝予選会を突破しなければ、箱根駅伝へ出場することができません。そのため、必然的に秋の大目標は「予選会通過」ということになります。
 

シード権のない大学は、夏休み期間はおおむね予選会対策に取り組まなければなりません。予選会は20kmの距離で行われるため、距離を走る練習が多くなります。
 

また、秋口に行われる記録会などにも出場しますが、そこで調子のピークを合わせすぎてしまうと、予選会本番にピークが合わせられず、予選会で本来の走りができない、というケースを何年も見てきました。記録会は予選会の選手選考を兼ねて出場するケースも多く、選手は非常に難しいスケジュールをこなすことになります。


今年の予選会では、次点の麗澤大学がボーダーラインから1分50秒差のところまであがってくるなど、新鋭校も力をつけています。また今回は第95回の記念大会だったため予選会では「11校」が出場権を獲得できましたが、次回の予選会で出場権を獲得できるのはまた「10校」に戻る可能性が高く、少ない出場権を多くの学校が争うことになります。


このように、次回の予選会では出場権をめぐる争いはさらに激しくなることが予想されるため、2019年の箱根駅伝でシード権を獲ることはとても重要になります。
 

2019年の箱根駅伝、優勝候補は?

最大の注目は青山学院大学が箱根駅伝5連覇達成なるか、という点であると言えます。前哨戦と言われる、出雲駅伝・全日本大学駅伝をいずれも制し、勢いにも乗っています。実際に、箱根駅伝の区間エントリーを見た段階でも隙の無い布陣になっていると感じます。
 

対抗として考えられるのは東海大学、東洋大学。そのほかにも法政大学、帝京大学、駒澤大学にも可能性があるのではないかと考えられています。詳しくは次の通りです。
 

●青山学院大学(第94回箱根駅伝優勝、出雲駅伝優勝、全日本大学駅伝優勝)

区間エントリーも極めて順調に行えた印象。東京国際大学のタイタス・モグス選手(3年)が1区にエントリーされており、速いペースで飛び出す可能性があるため、1区橋詰大慧選手(4年)がペースに惑わされずに上位で走り切れるかが最初のポイントになりそうです。2区には今季好調の梶谷瑠哉選手(4年)、4区には世田谷246ハーフマラソンで好走し、上り調子の岩見秀哉選手(2年)、難関の5区には前回大会区間5位の実績がある竹石尚人選手(3年)をエントリー。


復路のエントリーも6区小野田勇次選手、7区林奎介選手(ともに4年)は前回大会区間賞を獲得しており、終盤にも9区吉田圭太選手(2年)、10区吉田祐也選手(3年)と主力を残しています。補欠選手にも前回大会1区5位の鈴木塁人選手(3年)が控えていますが、前回大会2区区間賞の森田歩希選手(4年)は故障という報道もありました。往路の要とにらんでいた森田選手の出場は不透明ですが、仮に往路で遅れても復路で逆転可能な手厚い布陣だと思います。 
 

●東洋大学(第94回箱根駅伝2位、出雲駅伝2位、全日本大学駅伝3位)

前回大会往路を制したメンバーが全員残っている東洋大学。前回大会1区区間賞の西山和弥選手(2年)で再び好スタートを切りたいところです。


前回大会4区2位の吉川洋次選手(2年)を3区、前回大会5区9位の田中龍誠選手(2年)は再び5区にエントリーされています。前回大会2区3位の相澤晃選手(3年)、3区区間賞の山本修二選手(4年)を補欠選手としており、もし往路に起用されるようなら、かなり強力な布陣となるでしょう。


復路は前回大会6区区間5位の今西駿介選手(3年)を6区、前回大会10区区間賞の小笹椋選手(4年)を7区にエントリーしており、7区までに勝負を決めたいという狙いが感じられるエントリーとなっています。
 

●東海大学(第94回箱根駅伝5位、出雲駅伝3位、全日本大学駅伝2位)

全区間、隙の無いエントリーができたと思います。1区は第93回大会以来の1区に挑む鬼塚翔太選手(3年)、2区は出雲駅伝・全日本大学駅伝と主要区間を走った湯澤舜選手(4年)がエントリーされており、序盤での大きな出遅れは考えにくいと思います。5区には入学時より5区を希望していたという西田壮志選手(2年)がエントリーされています。5区は走力に加え、強い気持ちが特に必要な区間であり、西田選手のこういった心意気に期待を感じさせます。


復路は2年連続6区を経験している中島怜利選手(3年)、7区には前回大会2区7位の阪口竜平選手(3年)をエントリー。特に阪口選手は主力と目されながらも、故障が長引き、出雲駅伝・全日本大学駅伝を欠場していました。復帰となれば、大きな戦力アップとなります。


加えて、補欠選手にも湊谷春紀選手(4年)、關颯人選手、館澤亨次選手(ともに3年)がいるため、箱根駅伝初優勝へ向けて、当日変更があるかもしれません。
 

●帝京大学(第94回箱根駅伝9位、出雲駅伝5位、全日本大学駅伝5位)

前回大会はシード権争いに巻き込まれて9位も、第95回大会はダークホースとの呼び声も多く聞こえます。前回大会の経験者が9人残り、トラック種目やハーフマラソンの記録も向上しています。


1区に前回大会4区7位の竹下凱選手、2区に前回大会2区11位のエース畔上和弥選手(ともに4年)の上級生、3区には注目のルーキー遠藤大地選手(1年)がエントリーされました。主力を並べているため、上位集団にいたいところです。6区の10000mチーム最速の島貫温太選手(3年)は、前回大会6区区間4位の実績者・横井裕仁選手(4年)を差し置いてのエントリーとなっています。


復路も選手層が厚く、第82回大会で優勝した亜細亜大学を彷彿とさせる選手層の厚さだと思います。
 

●法政大学(第94回箱根駅伝6位、出雲駅伝12位、全日本大学駅伝7位)

前回大会5区区間賞の青木涼真選手、6区区間3位の佐藤敏也選手(ともに3年)を擁し、最難関の5区・6区で最もアドバンテージを持っているのが法政大学です。前回大会は5区で14位から5位までジャンプアップしており、4区終了までに上位にいれば、さらなる上位進出も狙えるでしょう。


前述の通り、前回大会は4区終了時14位であったため、課題は往路序盤の4区間です。2区に前回大会2区区間14位のエース坂東悠汰選手(4年)がエントリーされていますが、1区がハイペースで推移しそうなため、出遅れを避けるために佐藤敏也選手(3年)が起用されるのではという声も各所で聞かれています。10000m28分35秒98の自己記録を持っており、平地でも区間上位で走れるのではと思われます。6区の実績を捨てるリスクはありますが、往路で快走すれば、前回大会総合6位以上の成績も狙えるでしょう。


また補欠選手に「大畑マジック」の異名を持つ、大畑和真選手(4年)が控えています。どの区間でも安定して区間上位で走る選手であり、ポイントとなる区間での起用が見込まれます。


●駒澤大学(第94回箱根駅伝12位、箱根駅伝予選会1位、全日本大学駅伝4位)

ハーフマラソンの距離で行われた箱根駅伝予選会を圧倒的な強さで首位通過しました。全日本大学駅伝は4位に終わりましたが、距離の伸びる箱根駅伝の方が戦えるのではという声も多く聞こえます。


主力の片西景選手、伊勢翔吾選手(ともに4年)、伊東颯汰選手(2年)を補欠選手としており、当日変更で起用されることが濃厚です。


往路のポイントとなる2区は前回大会2区13位の山下一貴選手(3年)が再びエントリーされており、この1年でタイムを大きく伸ばしているため、リベンジに期待が集まります。


前回苦戦した5区・6区は今大会でも未知数な部分は多いものの、復路にも戦力を残しています。7区は上尾シティマラソンで好走した小島海斗選手(2年)、9区に前回大会9区2位の堀合大輔選手(4年)をエントリーしており、上位進出に向けて手厚いエントリーとなっているでしょう。

 
* * * * *
 

区間エントリーの発表も終わり、いよいよ2019年1月2日(水)~3日(木)の箱根駅伝当日を待つのみとなりました。果たして2019年、平成最後の箱根駅伝を制するのはどこの大学になるのでしょうか。
 

往路、復路とも、エントリー変更(出走するメンバーの変更)は当日のレース開始1時間10分前に受け付けます。ここでのエントリー変更は正競技者と補欠競技者の交替で、4名まで(つまり正競技者間での区間変更はNG)。レースが始まる1時間ほど前(午前7時頃)には新しい情報を確認することをお勧めします。現地で観戦される方は、ルールを守って応援するようにしましょう。
 

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