全館「ヌード」!ロダン《接吻》など横浜美術館に英国テートの傑作が

横浜美術館では、2018年3月24日~6月24日まで「ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより」を開催する。近現代美術の殿堂、英国テートからヌードの傑作が集結、日本初公開となるロダンの大理石彫刻《接吻》をはじめ、絵画、版画、写真など約130点が集結。

英国テートから「ヌード」の傑作が集結!来春、横浜美術館で大規模展

横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3-4-1)では、2018年3月24日(土)~6月24日(日)まで「ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより」を開催する。近現代美術の殿堂といわれる、英国を代表する国立美術館「テート」からヌードの傑作が集結、日本初公開となるロダンの大理石彫刻《接吻》をはじめ、ターナーが描いた貴重なヌード作品や、マティス、ピカソ、ホックニーなど19世紀後半から現代まで、それぞれの時代を代表する芸術家たちの絵画、彫刻、版画、写真など約130点で、ヌードの軌跡200年をたどる。

ロダンの大理石彫刻《接吻》が日本初公開。ブロンズ像で広く知られるロダンの《接吻》だが、高さ180センチ余りのスケールで制作された迫力の大理石像は、世界にわずか3体しかない。オーギュスト・ロダン 《接吻》(部分) 1901‐4年 Tate: Purchased with assistance from the Art Fund and public contributions 1953, image © Tate, London 2017
ロダンの大理石彫刻《接吻》が日本初公開。ブロンズ像で広く知られるロダンの《接吻》だが、高さ180センチ余りのスケールで制作された迫力の大理石像は、世界にわずか3体しかない。オーギュスト・ロダン 《接吻》(部分) 1901‐4年 Tate: Purchased with assistance from the Art Fund and public contributions 1953, image © Tate, London 2017


2017年9月12日、駐日英国大使館ニューホールで記者発表会が開催、同展の見どころや先進的な試みを行うテートの活動について紹介された。

駐日英国大使館ニューホールでの記者発表会のようす。左からブリティッシュ・カウンシル 駐日代表 英国大使館文化参事官 マット・バーニーさん、横浜美術館 逢坂恵理子館長、テート 国際巡回展責任者 ダニエル・スレーターさん、読売新聞東京本社 福士千恵子 取締役事業局長(2017年9月12日撮影)
駐日英国大使館ニューホールでの記者発表会のようす。左からブリティッシュ・カウンシル 駐日代表 英国大使館文化参事官 マット・バーニーさん、横浜美術館 逢坂恵理子館長、テート 国際巡回展責任者 ダニエル・スレーターさん、読売新聞東京本社 福士千恵子 取締役事業局長(2017年9月12日撮影)

 

西洋美術のヌードの軌跡200年を英国テートのコレクションでたどる

同展は、世界屈指の西洋近現代美術コレクションを誇るテートの所蔵作品により、19世紀後半のヴィクトリア朝の神話画や歴史画から現代の身体表現まで、西洋美術の200年にわたる裸体表現の歴史を紐とく、というもの。

アンリ・マティス 《布をまとう裸婦》 1936年 Tate: Purchased 1959, image © Tate, London 2017
アンリ・マティス 《布をまとう裸婦》 1936年 Tate: Purchased 1959, image © Tate, London 2017

フレデリック・ロード・レイトンが神話を題材として描いた理想化された裸体から、ボナールらの室内の親密なヌード、男女の愛を永遠にとどめたロダンの大理石彫刻《接吻》やシュルレアリスムの裸体表現、人間の真実に肉迫するフランシス・ベーコン、さらにはバークレー・L・ヘンドリックスやシンディ・シャーマンなど、現代における身体の解釈を通して、ヌードをめぐる表現がいかに時代とともに変化し、また芸術表現としてどのような意味をもちうるのかを約130点の作品でたどる。

フレデリック・ロード・レイトン 《プシュケの水浴》 1890年発表 Tate: Presented by the Trustees of the Chantrey Bequest 1890, image © Tate, London 2017
フレデリック・ロード・レイトン 《プシュケの水浴》 1890年発表 Tate: Presented by the Trustees of the Chantrey Bequest 1890, image © Tate, London 2017

 

「ヌードをテーマにした大規模展は挑戦的な試み」

ピエール・ボナール 《浴室》 1925年 Tate: Presented by Lord Ivor Spencer Churchill through the Contemporary Art Society 1930, image© Tate, London 2017
ピエール・ボナール 《浴室》 1925年 Tate: Presented by Lord Ivor Spencer Churchill through the Contemporary Art Society 1930, image© Tate, London 2017

主催する読売新聞社の福士千恵子(ふくし ちえこ)東京本社取締事業局長は「近現代美術の殿堂、テートのコレクションから、裸体をテーマとする傑作の数々を日本の皆さまにご覧いただけることとなりました。読売新聞社は、1998年に東京都美術館でテートの展覧会を開催し、約48万人の方々にご来場いただきました。20年前は幅広くテートのコレクションをご紹介いたしましたが、今回はヌードという挑戦的なテーマでの開催となります。多くの皆さまにご覧いただけるとうれしいです」と述べた。
 

横浜美術館の逢坂恵理子(おおさか えりこ)館長は「ヌードをテーマにした大規模な展覧会は前例が少なく、挑戦的な試みです。ヌードという新しい表現がどのようにして受け入れられ、発展していったか、作品を通してその軌跡をたどっていただければ」と、あいさつした。

バークレー・L・ヘンドリックス 《ファミリー・ジュールス:NNN[ノー・ネイキッド・ニガー(裸の黒人は存在しない)]》1974年 Lent by the American Fund for the Tate Gallery, courtesy of the NorthAmerican Acquisitions Committee 2011, image © Tate, London 2017, ©Estate of Barkley L. Hendricks. Courtesy ofJack Shainman Gallery, New York.
バークレー・L・ヘンドリックス 《ファミリー・ジュールス:NNN[ノー・ネイキッド・ニガー(裸の黒人は存在しない)]》1974年 Lent by the American Fund for the Tate Gallery, courtesy of the NorthAmerican Acquisitions Committee 2011, image © Tate, London 2017, ©Estate of Barkley L. Hendricks. Courtesy ofJack Shainman Gallery, New York.

 

全館「ヌード」! ロダンの大理石彫刻からターナーのスケッチまで

同展の見どころは、これまでにない「ヌード」の大規模展覧会であること。「ヌード」は西洋の芸術家たちが絶えず向き合ってきた永遠のテーマ。同展では、この難しいテーマに意欲的に取り組み、西洋の芸術家たちの挑戦の軌跡を追い、ヴィクトリア朝から現代までのヌードの歴史をたどる。

 

また、近現代美術の殿堂といわれるテートから、ヌードの傑作が多数集結することも見どころとなっている。1897年の開館以来、世界屈指の近現代美術コレクションと先進的な活動で、常に美術界をリードしてきたテート。ターナーの遺作約3万1千点を収蔵しているが、風景画で知られるターナーが描き、「名声が傷つけられる」との理由でその多くが焼却されたという、ヌードの“幻”のスケッチ画が同展で公開される。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 《ベッドに横たわるスイス人の裸の少女とその相手》「スイス人物」スケッチブックより 1802年 Tate: Accepted by the nation as part of the Turner Bequest 1856, image © Tate, London 2017
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 《ベッドに横たわるスイス人の裸の少女とその相手》「スイス人物」スケッチブックより 1802年 Tate: Accepted by the nation as part of the Turner Bequest 1856, image © Tate, London 2017

テートの国際巡回展責任者であるダニエル・スレーターさんは「テートは、テート・ブリテン、テート・モダンに建物が分かれているため、20世紀以前の英国の作品と、20世紀以降の国外の作品が一緒に展示されることはありません。別々に展示される作品が同じフロアで見られるのは、同展覧会ならでは」と、同展の特徴を紹介。

デイヴィッド・ホックニー 《23, 4歳のふたりの男子》C.P. カヴァフィスの14編の詩のための挿絵より 1966年 Tate: Purchased 1992 © David Hockney
デイヴィッド・ホックニー 《23, 4歳のふたりの男子》C.P. カヴァフィスの14編の詩のための挿絵より 1966年 Tate: Purchased 1992 © David Hockney

合わせて、同展の見どころを次のように紹介した。「『エロティックヌード』のセクションでは、日本初公開となるロダンの大理石彫刻《接吻》をはじめ、ターナーが描いたヌードのスケッチ画、ピカソが描いた売春宿の風景、男女の性的な関係をひっくり返したブルジョワの作品などを同フロアに展示します。ホックニーの作品は同性愛を描いたものですが、これが描かれた時代は、英国では同性愛は刑法で罰せられるという時代でした。こうしたことを重ねあわせると、新しい次元が見えてくるのではないでしょうか」(ダニエル・スレーターさん)。


2016年11月にオーストラリアで開幕し、ニュージーランド、韓国へと国際巡回する同展。待望の日本上陸となるが、開催館の収蔵作品もテーマに合わせて展示されるのが特徴となっている。横浜美術館からは写真作品が展示される。

「ヌード」作品に囲まれるという体験ができる「ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより」は、2018年3月24日(土)~6月24日(日)に横浜美術館で開催。前売券販売は2018年1月20日(土)から。

 

  • ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより

会期:2018年3月24日(土)~6月24日(日)
開館時間:10:00~18:00
※2018年5月11日(金)、6月8日(金)は20:30まで
※入館は閉館の30分前まで
休館日:木曜日、5月7日(月) ※5月3日(木・祝)は開館
主催:横浜美術館(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)、読売新聞社、テート
後援:ブリティッシュ・カウンシル、J-WAVE
協力:日本航空
観覧料:一般1600円(前売1400円、団体1500円)、大学・専門学校生1200円(前売1000円、団体1100円)、中学・高校生600円(前売400円、団体500円)、小学生以下無料、65歳以上1500円(要証明書、美術館券売所でのみ対応)
※前売券販売は2018年1月20日(土)~3月23日(金)
※()内は前売および有料20名以上の団体料金(会場でのみ販売、要事前予約)
※障がい者手帳をお持ちの方と介護の方(1名)は無料
※観覧当日に限り本展の観覧券で「横浜美術館コレクション展」も観覧可
URL:ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより(横浜美術館)
URL:展覧会公式サイト http://nude2018.yomiuri.co.jp/


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