日本マクドナルドホールディングスは1日、2012年1~9月期連結経常利益が前年同期比16%減の178億円になったと発表した。1~9月期の経常減益 は7期ぶり。高単価の商品が振るわず、客単価が想定以上に落ちた。通期業績は計画を下回る公算が大きく、来期に110店舗を追加閉店するなど収益改革に乗 り出す。

 売上高は1%減の2207億円だった。既存店売上高が2.2%減り、24億円の経常減益の要因となった。

 4月からコーヒーの値下げや100円メニューの充実など低価格攻勢で客数は伸びた。ただ、新開発した高単価メニューの購入につながらず、客単価は落ちた。新商品の投入に伴う販売促進費も膨らんだ。

 12年12月期で3%増の284億円を見込んでいる経常利益の達成は難しい状況だ。会見した原田泳幸会長兼社長は「震災で消費志向が変わり、今までのやり方は通用しない」と話した。

 収益性の低い店舗を例年、年間100店舗ほど閉めているのを、来期は閉店数を200店舗超に増やす。ビッグマックなど看板商品の値下げキャンペーンもやめるほか、新商品も絞り込む。勝ち組だったマクドナルドだが、成長に向け正念場を迎えている。

※リソースはこちら

 

マクドナルドが再ブランディングに乗り出しましたね!
「110店舗の閉店」の部分を見て、ただのリストラかと思う方も多いと思いますが、違います。
再ブランディングです。

 

原田社長は「価格ではなく価値で勝負」とおっしゃってます。
何らかの付加価値を与えて、高価格で売っていきたいのだと思います。
付加価値。これこそがブランディングの最重要要素なのです。

 

現状を確認しましょう



そもそも、マクドナルドはハンバーガー65円や59円などの超低価格で販売し、コーヒーも100円にして、市場シェアを奪ってきました。
その結果、消費者は「マクドナルドは安いもの。その価値しかない」と認識するようになりました。

 

この状況下で、ハンバーガーを値上げしたり、マックアメリカなどの高額商品を投入したりしても、効果はないわけです。
実際、最近のマクドナルドのお客様は、100円マックばかりを注文する人が多かったようです。
100円の商品だけで、何時間も席に居座るお客様も少なくありませんでした。
消費者の認識は、いつの間にか、「マクドナルドは100円を払って快適な店内で時間を過ごせる場所」になっていったのです。

 

昨日、地下鉄の駅構内で、ベンチに女子大生が座って、ず~っとおしゃべりしていました。
地下鉄なので、雨風はしのげるし、無料でずっと座っていられるからでしょう。
マクドナルドも同様です。
マクドナルドのライバルは、ハンバーガーの他店ではなく、無料で何時間も居座れる、公共のベンチなのです。

 

現状を打破するには?

 

マクドナルドの「商品を食べたくて」来店するわけではなく、「快適な席に座りたくて」来店する。
ハンバーガー店としては、これは一刻も早く打破しなくてはいけない状況ですね。
現状を打破する戦略について考えてみましょう。

 

■価値で勝負する

そのためにはブランド力強化が必須です。
ブランド力を高めずして、高額商品投入は不可能です。

 

■希少価値を高める

店舗数を減らすことで、希少性は高まります。
既存の店舗がなくなって、最寄りマクドナルドが遠くなってしまったお客様のためでしょうか?
新しくデリバリーサービスも開始します。

 

■特化する

原田社長は余計な部分を削ぎ落とす、とおっしゃっています。
採算が取れない店舗だけではありません。
メニューも変えてくるでしょう。
100円マックは廃止させると思います。
デリバリーサービスの最低オーダー額は1,500円。これは高額ですよ。
この点から、メニュー価格はセットで700円前後~それ以上を目指すのではないかと推測できます。
「高級志向」では、フレッシュネスバーガーやモスバーガーとかぶってしまうので、少し違う路線を目指すのではないでしょうか。
アメリカのようなボリュームのあるハンバーガーとか・・・?
(まさにマックアメリカですね。レパートリーを増やしてレギュラー化するかもしれません。)
いずれにしても、高額なハンバーガーに特化していくはずです。

 

■記号を変える

消費者の認識をわかりやすく変えるためには、ブランドのロゴやイメージカラー、店名を変えるのも有効です。
今のままのマクドナルドでは、消費者の目には「ただの値上がり」にしか映りませんからね。

ブランド名を変えるのは、イブサンローランも挑戦しています。詳しくはこちら
ロゴの変更は、結構色々な会社がやっていますね。
最近ではマイクロソフトが変更しています。

 

旧ロゴ

新ロゴ

【おまけ】
「ただの値上がり」に見えてしまうのはなぜでしょうか?
理由は主に2つあります。

 

■続くデフレ
原田社長は、値下げキャンペーンを止めるときに、「デフレは終わった」としました。
一方、消費者感覚ではデフレは終わっていません。
お給料は下がり続けていますし、景気が良くなったなんて誰も思っていません。
一方的にデフレが終わったことにされても、困惑してしまいますよね?
マクドナルド自身が仕掛けたデフレを、勝手に終わらせるな!と思ってしまうわけです。
そもそも、59円の価値しかないはずのハンバーガーが、中身は変わらずに倍の価格になるのは、誰も納得できません。

 

■円高
1ドル=80円前後をさまよい続けています。
円高は輸入企業にとっては追い風です。
マクドナルドは低価格を維持するために、今この瞬間で一番安くて良い牛肉を、世界中から輸入していたはずです。
したがって、円高はマクドナルドにとっては非常に好条件なのです。
なのに値上げ・・・?納得できない、と消費者は思うのです。

 

世界的企業の再ブランディング、今後も注視する必要がありますね!
値下げしたものを値上げするのは、既存顧客からの批判も多いでしょう。
成功例となれば、個人事業や中小企業としても、学ぶことがあるかもしれません。