結婚当初は「よい婿が来てくれた」と喜んでいた春子さんと義男さんが、1年ほど経つと、「真理奈に対する言葉がキツイ」「いつも疲れた顔をしている」「仕事が忙しすぎる」などと、健太さんがいないと不満気に話すようになりました。真理奈さんも健太さんに対する不満を春子さんと義男さんにこぼすようになり、いつの間にか、家の中に「真理奈さん&両親対健太さん」という構図が出来上がってしまいました。当然、健太さんは居心地が悪くなり、帰宅時間は遅くなり、休みの日も一人で出かけてしまうようになりました。

 

そして1ヵ月ほど前、健太さんが子作りに積極的ではないことに「孫の誕生を心待ちにしている両親に申し訳ない」と、真理奈さんが不満を伝えたところ、健太さんが「こんな状態が続くなら離婚したい」と言い出しました。健太さんの突然の強い言葉に驚いた真理奈さんはどうしたらよいかわからず相談にいらしたのです。

 

真理奈さんのケースのように、実家依存症の妻が実家に同居するようになると、自立する機会が奪われ、いつまでも「子ども」として、両親に甘え続けることになりがちです。親子の絆はより強くなるかもしれませんが、その中でよそ者の夫だけが孤立してしまうのです。確かに妻にとって、実家は居心地がよく、家事や育児の手助けが受けられるので、自由な時間も増えるなどのメリットがあります。ただ、夫婦の間で問題が起こっても2人で解決せずに、妻が両親を頼ることで夫と妻の両親は対立してしまい、夫婦にとっても絆を強める機会が失われるなど、デメリットは少なくないのです。

 

真理奈さんにとって本当に頼りにするべきは、実家の両親ではなく、パートナーである健太さんのはず。このまま実家優先の生活を続ければ、夫である健太さんはますます孤立してしまい、夫婦の信頼関係を築くことは難しく、離婚になってしまうかもしれません。もう一度、夫婦でしっかり話し合い、そして、お互いが向き合い、今後は実家を出ることを含めて、夫婦としてどう暮らしていくかのルール作りを決めるようにアドバイスしました。

 

アドバイスの後、真理奈さんから、いくつか夫婦間のルールを決めて、夫婦関係が修復されつつあるとの報告がありました。ただ、実家を出るという決断はしていないとのことです。

 

夫婦にさまざまな問題が起こったときに頼りにするのは、パートナーである夫なのです。結婚したら妻は実家を避難場所にせず、親から自立して夫と向き合い、しっかりした絆を結ぶべきです。そのためには、妻は実家とは別の家庭を夫と作っていると自覚することです。また、もし夫が妻の実家との同居を決める際には、婿養子になるくらいの覚悟をしておきましょう。