今回、徳永さんが手術治療に踏み切ったのは、私の推測ですが、検査の結果、脳血流不足が進行していたため、そして、将来の音楽活動や日常生活が支障なくできるようにするためだと考えます。

 

■もやもや病の手術治療
残念ながら、現在の医療技術で脳血管が細くなることを手術治療や薬で直接完治させることはできません。しかし、脳血流が足りていないために症状が出現している場合や、将来の脳梗塞や脳出血の予防を目的とする場合は、手術治療で改善することが期待されます。

 

手術方法は、脳内への血流を増やす目的で下記の2つが行われるのが一般的です。どちらも全身麻酔で頭蓋骨をあける開頭術で行われます。

 

●(1)直接血行再建術(直接バイパス術)
こめかみに触れると拍動している血管(浅側頭動脈)を直接脳内の血管につなぐことで脳血流を維持させる方法です。

 

●(2)間接血行再建術(間接バイパス術)
側頭筋や脳を包む硬膜などの血流が豊富な組織を脳表面に接着させることにより脳血流を維持させる方法です。

 

私の意見としては、両方の手術を組み合わせる方法(複合バイパス術)がより良いと考えますが、もやもや病における直接血行再建術は脳神経外科手術の中でも難易度の高い手術の1つです。ですから手術を勧められた場合は、主治医とよく相談して手術方法を検討することが重要です。

 

もやもや病は原因不明の進行性の病気ですが、きちんと治療すれば普通の生活を送ることができます。中には出産して子育てをしている患者さんもいれば、徳永さんのように精力的に歌手活動を行い、たくさんの人に夢や希望を与えている患者さんもいます。これからの医療の進歩に伴い、さらに多くの患者さんが病状を克服されるよう、私たち医師は努力していきたいと思います。

 

徳永さんが焦らずじっくり療養され、少しでも早く音楽活動を再開されることを、いちファンとして心から願っております。