シンガーソングライターの徳永英明さんが、「もやもや病」のため、手術を受けたことが話題となっています。

 

徳永さんは2001年にも、もやもや病のため、手術は受けなかったものの入院し、約1年半後に復帰しています。今回、多くのメディアが「再発」と報じていますが、専門である私の立場から言わせていただくと、「再発」ではなく、「病状の進行」と見たほうが正しいです。

 

もやもや病とは聞き慣れない病気だとは思いますが、「頭がもやもやする」(?)という意味の病気ではなく、脳の血管に起こる病気のことです。正式名称は「ウィリス動脈輪閉塞症」と言います。簡単に言うと、脳内の血管で一番太い血管である「内頚動脈」が細くなり、それが徐々に進行していく病気です。その結果、脳へ行く血液の量が減ってきてしまうので、新しい細い血管を作り上げ、なんとか脳への血流を保とうとします。その新しく作り上げた細い血管が、もやもやと煙草の煙が立ち上がるように見えるため、「もやもや病」と呼ばれているのです。ちなみに英語では「Moyamoya Disease」と言い、「もやもや」という言葉は全世界の脳神経外科医の中で共通言語となっています。

 

もやもや病は原因不明の進行性の病気なので、厚生労働省から難病指定を受けています。

 

もやもや病(難病情報センター)

 

もやもや病で難病指定を受けている患者さんの人数は全国で約1万5000人ほどですが、無症状の方もいます。実際に罹っている患者さんは10万人あたり6~10人ほどと推定されています。その10%程度は遺伝が原因とも言われています。

 

もやもや病の診断は、昔は血管の中に細い管を入れるカテーテル検査で行っていましたが、現在は患者さんの負担が少ないMRI検査にて判明することが多くなってきています。

 

もやもや病は、頭痛、口や手足のしびれなどの軽微な症状で見つかることもありますが、脳の血流不足に伴う症状でわかるのが一般的です。例えば小児の場合は、ラーメンなど熱いものを食べるときにフーフーと冷ましたり、笛を吹いたり、大声で泣いたりしたことが引き金となって、手足の動きが悪くなったり、言葉が出にくくなったり、時には意識を失ったりします。成人の場合は、前述の症状のほかに、細い新しい血管(もやもや血管)が破れて脳出血を起こしてしまうことがあります。

 

もやもや病は原因不明の病気なので、完治はできません。しかし、成人の場合、いま自覚している症状に対する治療や定期的な検査を継続すれば、普通に社会生活を営むことは可能で、生活における制限は一般的には必要ありません。ただし、脳出血や脳梗塞を引き起こしてしまったときには、なんらかの後遺症が残る場合があります。小児の場合は、慢性的な脳血流不足のため、将来的に注意力や記憶力などの高次脳機能障害が見られることがあるので、内服治療だけではなく手術治療を行うことがあります。