■「LGBT市場はブルーオーシャン」という間違った認識が蔓延

6兆円という数字が一人歩きした結果、一部の企業がこのLGBT市場を意識し始めました。また、LGBT市場を狙ったビジネスを始める動きも活発化しました。

 

この動きの背景には、LGBT市場という“新しく発生したばかりの市場”は広大なブルーオーシャンで、早い者勝ちで市場を征することができるという考えがあるようです。

 

ただ、この市場は決して“発生したばかりの市場”ではありません。何十年も前からゲイたちはこの社会に存在し、日々生活者としてご飯を食べたり遊びに行ったりモノを買ったりしてきました。現在展開されている「LGBT市場戦略」には、こうした視点が決定的に欠落していると筆者は感じています。

 

一度「ゲイ」という概念から離れて、彼らの想定している「ゲイ」という母集団を、行動経済学的な視点から分析をしてみましょう。

 

LGBT市場戦略を考える人々が対象としているペルソナは……

 

「同年代の既婚者よりも可処分所得が多く、趣味にかける金銭的・時間的余裕が比較的あり、これまでにも娯楽や趣味に関する消費行動をたくさん行ってきた独身男性たち」

 

ということになります。こうした人々はブルーオーシャンどころか、攻略がもっとも難しい超レッドオーシャン層と言えます。

 

少しでもマーケティングやPRをかじった人であれば、こんな激戦区に新規参入サービスが入り込む隙などなく、仮に市場に食い込むためには、天文学的な金額の資金投入が必要になるくらいの最難関市場であることはおわかりになるかと思います。

 

世に言われているように、ゲイが洗練された消費者であることはある部分では事実だと思いますが、洗練された消費者であるからこそ、非常に厳しい基準で商品やサービスを厳選していることも忘れてはいけません。