痛みで苦しまない人生を医学で導く痛み改善ドクター、富永喜代です。俳優で旅番組のレポーターとしても活躍された阿藤快さんが急死されました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

阿藤さんといえば、豪快かつ生き生きとした食レポートなどで大人気、病気の影すらうかがえない働き盛りの60代男性でした。

 

その阿藤さんの死因について、事務所関係者への取材で大動脈破裂胸腔内出血であったことがYahoo!ニュースなどで報道されています。

 

さらに、急死される前には背中や体の痛みを訴え、マッサージをよく受けていたという俳優さんの証言もでてきました。これは大血管の障害を肩や背中の痛みとして感じる関連痛がつらくて、マッサージを受けられたのではないか、と考えられます。

 

内臓が病気や障害をおこすと内臓の受容器が興奮し、その異常を脳や中枢神経に伝えます。この情報が引き金となり、内臓と同じ高さの脊髄に入る皮膚からの神経線維信号まで興奮させてしまうことがあります。皮膚の神経線維の興奮は脳や中枢にも伝えられ、結果、あたかも皮膚の体表面が痛いように感じられるのです。

 

これが、内臓が悪くて体の違う部位が痛くなる、内臓の危険信号を体の痛みとして感じる関連痛の仕組みです。

 

そして、内臓ごとに伝わる脊髄の高さは決まっていて、内臓によって決まった皮膚の部位(皮膚節:dermatome)に関連痛を感じる特徴があります。

 

今回、阿藤さんが亡くなる要因となった大動脈破裂胸腔内出血は、体の中で最も太くて大きな血管である大動脈が自分の血圧で裂けていく病気です。

 

大動脈は、心臓から出て首、肩、背中の高さを通り、腰の高さまで背骨にそって体の真ん中を走る大血管です。大動脈破裂は、その大血管が圧で裂けていく病気ですから、背中や肩、腰の表面が痛く感じてしまうのです。

 

他にも、狭心症や心筋梗塞など心臓の調子が悪い時に、胸の中央、左胸部、左肩、首、左腕、下顎、みぞおちなどに痛みを感じることがあります。これは心臓を支配する胸髄神経と同じ高さの脊髄神経に相当する皮膚の部位が、胸や肩、腕の皮膚だったということです。