東京・文京区の永青文庫で開催されている「春画展」が話題です。春画とは、男女(ときには同性同士、動物とも)の愛のいとなみを表現した絵画のこと。鎌倉時代から存在していましたが、版画技術が発達した江戸時代に量産され、栄華を極めました。良くとらえれば開放的でおおらか、悪くとらえればあまりにも露骨。そんな表現ゆえ、日本での展覧会開催を躊躇する美術館も多く、2015年になってようやく私立美術館での開催が実現。18歳未満入場お断りという激しい内容の展覧会であるにもかかわらず、連日多くの訪問者が詰めかける人気の展覧会になっています。

 

春画については、警視庁が掲載した週刊誌に指導を行うなど、さまざまな面で話題になっていますが、“意外”という観点で報道されているのが、若い女性が多く訪れているということ。この理由のひとつとして、春画の表現が女性に受け入れられやすいことが挙げられます。

 

前述のとおりの表現手法で、そしてときには笑いも起こるほどユーモラスな春画は、登場する人物(ときには動物も出てきますが)の人間らしさが際立ち、現代に生きる私たちに後ろめたさ、恥ずかしさをあまり感じさせません。そして、現在にまでその名前を残す絵師たちが、あらん限りの力を使って描いた春画だから、なによりその美しさに目を奪われます。

 

じっくり時間をかけて春画を大量に見ていると、「その部分」をなんとも思わなくなり、逆に次第に女性の表情や指先の表現、服装のほうに妖しさが見えてくるという不思議な感覚に陥るのです。こんな不思議な鑑賞体験ができることが、展覧会前より報道や口コミで女性たちの間で広がり、現在の状況が生まれているのではないでしょうか。