以前からマンモグラフィーの被ばく線量に関してはご質問を頂くこともありましたが、最近やたらと「マンモグラフィーによる被ばくが乳がんの原因になる」といった記事が目につくようになってきました。

 

私自身は婦人科の専門ですから、婦人科の検診として何の検診がどの程度有効であるかは、医学的知識としても、そしていらっしゃる患者様を拝見して感じることからも、確信をもってご説明できます。

 

マンモグラフィーに関しては乳腺外科の専門になりますので、私自身がマンモグラフィーの検査を行ったりその結果をご説明することはありません。なので、マンモグラフィーの被ばく線量については、一般的な医学的考察からそのリスクを考えることしかできませんが、結論から言うとマンモグラフィーの被ばく線量はがんの原因になるほど高いものではありません。

 

マンモグラフィーの有効性とリスクについてはこちらの記事がよくまとまっていますので、こ難しい説明や「エビデンス」がお好きな方は、この解説を参考にしていただくとよいと思います。

 

マンモグラフィーの被ばく線量が他のレントゲン検査に比べて高いように思われているようですが、実際は胸のレントゲン検査による被ばく線量とさほど変わりません。なぜ被ばく線量が下げられるのかというと、マンモグラフィーでは強く乳房を圧迫することによって、できるだけ乳腺を薄くして低い線量で済むようにしているからです。

 

実際、マンモグラフィーによる被ばく線量がどのくらいかを数値に表すと、実効線量が0.05~0.15mSvになります。人が普通に日常生活を送っていても、自然界からある程度の放射線を浴びますが、それが年間約2.4mSvなのです。つまり、たとえ1年間に10回マンモグラフィーをとっても、自然に浴びる放射線量より少ないということです。ちなみに、飛行機に乗ると被ばく線量は上がるのですが、東京~サンフランシスコを飛行機で移動した場合の自然被ばく線量は約0.038mSvと言われています。もし、マンモグラフィーで乳がんになるのだとしたら、国際線の客室乗務員の方の乳がんリスクはどうなるでしょう?