小堀さんは、戦時中に10年間、「三立製菓」に勤めていた。人を雇えるような状況ではない時代に、小堀さんの生活を支えてくれたのである。自分のことをずっと雇ってくれていたことに、小堀さんは感謝している。退職後もその思いは強く、恩返しのつもりで、「三立製菓」の菓子を売る店を開業したのである。

 

そこまで従業員に感謝される会社が、いまの時代にあるだろうか。中小企業ではあっても、大手では皆無ではないか。

 

雇ってくれたことだけではないだろう。働きやすく、楽しい職場だったのだろう。やりがいもあり、居心地も良かったのだろう。そうでなければ、退職後もその会社の商品を売りたいとまでは思わないはずである。

 

会社への感謝もあり、商品への愛着が生まれるのも当然である。その感謝の気持ちが、商品販売のお手伝いなのである。そんな会社が、どこにあるだろうか。

 

会社は従業員を大切にしなければならない、ということを教えてくれる、素晴らしいエピソードである。