野放図にポチっとやり過ぎたせいで、リビングの読書コーナーがひどいことになっている。ソファに座れない状態なのである。仕方ないので、本を床に積み直したが、もちろん、それで問題が解決したわけではない。マイルールは買ったら読書コーナーに置き、読んだら本棚。本棚のスペースも無くなりつつあるが、こちらはたまに捨てたりするので、まだ何とかなる。実際のところの解決はひたすら読むこと。連休中はいつもより仕事を1時間早く切り上げ、1日1冊である。

 

というわけで本日は『「学力」の経済学』(中室牧子著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)。教育の効果を計測、経済的にその意味を検証するという、日本ではほとんど知られていない教育経済学の書で、読み始めてちょっと違和感を覚えたのだが、読み終わって気づいた。

 

これは自分の偏見、経験が邪魔をしたのだな、と。その辺を一度捨ててフラットな視点で読まないと、この本の意義を理解することは難しいかもしれない。だが、自分がこうだ、こう信じて来たを捨ててみると見えることは多い。決して損ではないと思う。

 

ところで、この本で印象に残った部分を2カ所。

 

ひとつは「子どもはほめて育てるべきなのか」。最近はこれを言う人が多い。ほめられて伸びる人なのよ、私はと自分のことを言う人もいるが、これについて同書はほめ方次第という。

 

ほめて育てるを推奨する育児書などによると、子どもをほめることで自分に自信を持ち、それが良い結果に繋がるというような書き方をしているが、カリフォルニアで行われた大規模な研究プロジェクトの結果やそれらを含めた調査では、自尊心が高まると学力が高まる、のではなく、学力が高いという原因が自尊心が高いという結果をもたらしていることが分かったのだという。

 

さらにいくつかの研究が例証されているのだが、もともと学力の低い学生に自尊心を高めるような介入をすることは逆にマイナス効果を生みすらしている。「やればできるのよ」とむやみやたらとほめることは実力を伴わないナルシストを育てるのだと。

 

じゃあ、どんなほめ方が良いのかと言えば、能力をほめるのではなく、努力をほめるほうが子どもは伸びるという。能力をほめられた場合、できた時はいいけれど、できなかった時には才能がないと考えるようになり、それ以上の努力をしなくなる。だが、努力が良い結果をもたらしたことが分かっていれば、ダメな時には努力をしようと考える。

 

確かにこの違いは大きいだろうなあと思う。一部の天才を除けば、一般の人の成果を左右するのは能力ではなく、努力だろうと思う。結局、努力し続ける人が残るのである。