■密かに活動中の「冷えとり」という擬似医学
あるライターさんに「冷えとり」ってどう思いますか?と尋ねられた時、「ああ、あの体を温めれば免疫がってヤツですよね」と答えてしまいました。体温をあげると免疫力がつき、って感じの本を新聞の広告で見たことがある方も多いと思います。

 

確かに昔むかし、膀胱がんに対してハイパーサーミアという治療方法があり、私の大学病院勤務時代の恩師がそれで泌尿器科学会における坂口賞という非常に名誉のある賞を1982年にとりました(膀胱癌の温熱(Hyperthermia)療法の研究(I~III))。しかし、それは局所的に電子レンジ方式に膀胱を温めて(温めてというより熱して)治療する方法だったのですが、今の若い医師に聞いても多分そんな治療法は知らないはずです。

 

ライターさんによる「冷えとり」はそんな複雑なものではなく、靴下の重ね履きで体のあらゆるところの不調が治っちゃう、というトンデモ系でした。

 

「体を温めれば、特に女性の万病を治しちゃう『冷えとり』」

 

を信仰している方にとっては今年の猛暑はそれはそれは体調が整って良かったですね!! でもさあ、靴下を何重にも重ねて履いて、全身の体温が上がることによって万病が治る、ってどう考えてもありえないんじゃないの?

 

体を温めれば万病が治るのなら、熱帯地域に住んでいる人々はかなり健康レベルが高いことになるんじゃありませんか? 冷えとり方面の方。

 

医療レベルやその他の因子の違いもあるでしょうけど、温帯以北の方が健康レベルが高いと一般的には考えられていることと矛盾します。