「世の中にどう思われてるかなど、あまり考えたことがないんです」

 

人気女優であり続ける松たか子さんのこの言葉は衝撃的でした。

 

第34回「日本アカデミー賞」(2011年)で、作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞の4部門で最優秀賞を獲得した『告白』。この作品の記者会見で、「中島哲也監督から、好感度が下がる作品かもしれないが、ぜひ松さんに主演をお願いしたいと懇願された際、正直なところどう思いましたか?」との質問に、松さんは「世の中の評判を意識したことがない」。確かにそう答えたのでした。

 

人気商売ともいえる女優さんがこのように答えるのは、極めて珍しいケースかもしれません。人気を気にしない、つまりそれは、世間や周囲に媚びない、ということでもあります。実際、会見場やトーク番組などにおける素の松さんは、ストレートの黒髪にナチュラルメイク、黒や紺系の落ち着いた装いが多く、華やかな衣装や肌を露出したりして自身を際立たせるようなことを一切しません。

 

公開中の映画『HERO』でも、メガネにショートカット、黒を基調とした服装と、地味めな装いで登場しています。しかし、なぜか「特別なヒロイン力」は健在。周囲の正統派美人女優さんらが醸し出すことのできない別挌な魅力が、スクリーンを支配してしまうのです。この別格な魅力は果たしてどこから来るのか。

 

松さんは、女優としてのセンス(ルックス・才能)&実力(演技力・努力)に関しては文句のつけようがなく、映画、ドラマ、舞台での活躍はもちろんのこと、アニメ映画『ブレイブ・ストーリー』ではプロの声優さん顔負けの演技を披露し、『アナと雪の女王』では声優に加え、ミュージカル歌唱に挑み、シンガーとしても世間から絶大な評価を得ています。

 

では、その圧倒的な才能が、別格な魅力につながっているのでしょうか?

 

確かに松さんが女優としての資質と才能に恵まれているのは事実ですが、他にもそれらを兼ね備えた女優は存在します。では、松さん特有の魅力とは何なのか?