■遺伝子には重篤な病気と関係するものが多い

どのような変化が起きるのか全く予想できないため、実験では全遺伝子の機能の変化を、ISSの滞在前後で調べます。ところが、遺伝子のなかにはアルツハイマー病やパーキンソン病など、重篤な病気と関係するものが多くあります。そのため、もし、本人たちが遺伝情報の公開を拒否すれば、そのデータが日の目を見ることはありません。

 

実際のところ、本人たちがどう考えているのか、現時点では不明です。Nature Newsによると、そもそもこの実験を思いついたのが本人たちであり、兄弟とも遺伝カウンセリングを受けているとのこと。少なくとも、実験そのものには前向きなようすが伺えます。

 

■遺伝子プライバシーの問題

宇宙飛行士が発見した成果は、未来のためにも広く知られるべきでしょう。しかし、遺伝情報はその人しかもたない個人情報でもあるため、すべてを無条件に公開するわけにはいかないというのも理解できます。これが、Nature Newsのタイトルにある「questions about genetic privacy(遺伝子プライバシーの問題)」です。

 

NASA内では実験データが保管されると思いますが、人類史的にも貴重なデータを一組織が独占するというのも奇妙な話です。重篤な病気に関係するところだけは非公開にするなど、本人にも社会にも配慮されるようなかたちで公開されるのが望ましいと考えます(DNA二重らせんモデルの提唱者の一人であるジェームズ・ワトソンは、自分の全塩基配列をウェブ上に公開するときに、アルツハイマー病と関係する遺伝子の部分だけを削除しました)。