■留学に挑戦する学生に向けた16分間の伝説のスピーチ
私は企業の採用担当者の方々にプレゼンテーションの研修をする仕事もしているが、「プレゼンテーションが上手いと思う有名人は?」と受講者に聞くと必ず出てくるのはアップルの創業者スティーブ・ジョブズだ。聴衆の心に訴えかける話し方や演出はプレゼンテーションのお手本としてよく紹介される。

 

そんなスティーブ・ジョブズと比較されがちなのがソフトバンクの孫正義社長だ。なぜならプレゼンする商品が同じだったりするので「iPhoneの価値を孫さんはこう伝えるが、ジョブズならこう伝える」とスティーブ・ジョブズのプレゼンの巧みさ理解するために比較対象になることが多い。

 

そういう意味で実際にどうかは別として、ソフトバンクの孫社長は「プレゼンやスピーチがあまり上手くない経営者」というイメージを持っている人も多いかもしれない。

 

しかし先日私の中では明らかにソフトバンク孫社長がスピーチでスティーブ・ジョブズを超えた瞬間があった。

 

「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」という文部科学省が進める官民協働の留学支援プロジェクトの壮行会で、これから留学に旅立つ学生たちに語った孫社長の16分のスピーチを聞いた時に鳥肌が立った。

 

たった16分間のスピーチにも関わらず、なぜか30分以上の講演を聞いたような充実感。「留学先でしっかり勉強してこい!」というメッセージは一言も言っていないのに、聞いた学生達は「死ぬ気でこの機会を活かして勉強してくるぞ!」と奮い立ったはずだ。

 

なぜそんなことを16分間で実現できたのかと言うと、孫社長ならではの考え尽くされたスピーチ上の工夫があるからだ。