■受精卵を編集しないで 研究者が警告

「Nature」のやり取りを見て、さらに「Science」のWebサイトにも記事が掲載されます。

 

Don’t edit embryos, researchers warn

(受精卵を編集しないで 研究者が警告)

 

こちらは、これまでの議論を簡単にまとめたものとなっています。

 

■産業団体が遺伝子編集の一時休止を呼びかけ

発端となった「MIT Technology Review」は「Nature」の議論も踏まえた上で、これまでの内容とまとめています。

 

Industry Body Calls for Gene-Editing Moratorium

(産業団体が遺伝子編集の一時休止を呼びかけ)

 

特に注目すべきは最後から2つ目のセンテンス。ゲノム編集技術は非常に新しいため、賛成派も反対派も、果たして有益なのか有害なのか正確な議論ができないとしています。このような状況では、正しいか間違っているかの単純化された議論となり、遺伝子組み換え作物や動物実験のような意見の相違を生み出すことにつながると述べています。

 

■実験も議論もオープンにすべき

「MIT Technology Review」や「Nature」の記事のなかには、非常に危険な証言があります。それは「すでにヒトの生殖細胞や受精卵にゲノム編集を施した実験が行われている。論文として公表されていなかったり、掲載準備中であるにすぎない」という可能性が否定できないというものです。

 

今回紹介した記事を総括すると、概ね「ヒトの生殖細胞や受精卵にゲノム編集する実験は一時休止して、オープンな議論と一般への認知のために時間をかけるべき」という主旨になります。そのような呼びかけのなかで、秘密裏に実験をしていたことが明らかになれば、一般社会からの信頼はなくなり、全面的な禁止も考えられます。そうなれば、本来の有益な使い道である「遺伝病患者の治療」も暗礁に乗り上げてしまします。

 

そうならないためには、一旦、全ての実験や議論をオープンにして、明確なルール作りに徹するのが理想かもしれません。研究者にとってはもどかしい期間になりますが、研究者・患者・社会いずれのメリットのために必要な期間であるのは仕方ないと考えます。