「そうやって欲求不満のままでいろ」(『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』より)。きびしく命令したあと「君を失いたくない」とささやきながら快楽の世界に連れて行ってくれる容姿端麗のリッチマン。

「ああ、いいわあ。こんな人が現れてくれれば最高なのに」とドキドキする妻たちが急増中です。

『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』という小説が発売5ヵ月で6300万部売れ、今や累計1億部という数字もはじき出しています。イギリスでは発売後3ヵ月で3000万部。ハリポタ超えの人気小説はなんとエロス満載のSM官能小説! 映画化もされ話題ですが、我が国の巨匠、団鬼六先生が生きておられましたら感想を伺いたい……と団先生をお偲びしながら読み進めました。

『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』って誰が読んでいるの?

『主婦です!!』

誰が書いたの?

『主婦です!!』

主婦が読む官能小説=「マミーポルノ」という言葉が世界中を駆け回っています(略して“マミポル”)。ブームが我が国にもやって来て、検索ワード上位にあがるほど。『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のみならず他の主婦著者が書いた官能小説も好評という昨今。

「ハウスワイフポルノ」より「マミーポルノ」の方が組み合わせに意外性があります。「おかあさん」のイメージはエロスと対局。やさしくて、夫と子供を大切にして、清潔なイメージの言葉です。そんな「おかあさん」にも「秘密の顔」があるということを浮き彫りにしてくれたマミーポルノの登場です。

この「主婦」と「ポルノ」の組み合わせがなんとも言えないエロチックさを倍増させました。

「そもそも子供がいる主婦に性の欲求があるのか? エッチなこと考えるのか?」

あたりまえです! 私が運営する恋人・夫婦仲相談所には妻側からのセックスレス相談があとを絶ちません。「子供ができてから8年間セックスレスです」「夫がまったく誘ってくれなくて寂しいです」という一見ライトな相談内容ですが、お話を聞いてゆくと、皆さん自分のほとばしる性欲をどうしていいかわからないと深く悩んでいる現状にたどりつきます。

「妻たちのセクシャルデザイアーを馬鹿にしてはいけません」と泌尿器科の勉強会で講演し、熟年男性の先生がたに活を入れたこともあります。主婦に限らず、セクシーなことを考える女性がたくさんいることを男性にも理解していただきたいものです。

『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』に登場する、容姿端麗のリッチマンに冒頭のような言葉を吐かれて、そのあと身体中に火花が飛び散るような自分史上最高のセックスを仕掛けられる自分を想像すると胸が震えると思います。作品の主人公アナスタシアに言わせれば、アドレナリンが身体中にあふれかえるような気分になるでしょう。

なぜ女性がこの小説にはまるのか考えてみました。