■白のなかの白、エレガントに極み
シャンパーニュ好きのボンドらしく、舌平目のグリルにシャンパーニュのブラン・ド・ブランをセレクトするなんて最高。素敵すぎる。

 

映画の中で使われているのは、テタンジェ社の最高峰「コント・ド・シャンパーニュ ブラン・ド・ブラン」だ。シャンパーニュの伯爵、エレガントさの極み。

 

「ブラン・ド・ブラン」とは、「白のなかの白」という意味。白ブドウのシャルドネ種を100%使用した繊細さと際立った酸味をもつ長熟タイプのシャンパーニュのカテゴリー名。通常は、黒ブドウのピノ・ノワール種やピノ・ムニエ種とブレンドするが、白ブドウのみで造るものには特別の名称が与えられ、特別の扱いを受けるのだ。まちがいなく、繊細な旨味を持つ舌平目のおいしさを引き立ててくれる。

 

最近は、魚にも赤ワインを合わせることがある。魚の味を損なわない軽めの赤を選んだり、気の利いたシェフなら魚の料理法を変えて赤の渋味にもマッチするようにしてくれる。赤ワインが好きな人はこまかい相性などを気にしないで、魚に赤を飲むこともある。魚料理の極めつけ、お寿司にも軽めの赤がいい。なぜならお寿司に欠かせないお醤油には白ではなく赤のほうがいいからだ。

 

■映画って本当にいいですね
だけど、ボンドは伝統的なルールやマナーにこだわる。食や酒に関わらず、とにかくディテールにこだわるのだ。でなければボンドじゃない。魚、とくに舌平目には、繊細なシャンパーニュなのだ。これがルール。これに赤なんか合わせる奴はスパイに決まっているのだ。

 

映画公開は1963年、昭和38年。日本は高度経済成長期だけど、舌平目もワインも、ましてやシャンパーニュなんてみんなほとんど知らなかった。リアルタイムで映画を見た人は、何のことやらさっぱりわからなかったかもしれない。でも、いま改めてみると、ボンドのこだわり、007の細部の面白さが本当によくわかる。長い間見続けられる映画はいい。いろんなことを教えてくれる。

 

映画って本当にいいものですねぇ。それでは、さよなら、さよなら、さよなら(←これをリアルで知っている私は1963年生まれちゃん!)