拝島駅に到着する五日市線電車

 

北陸新幹線開業、上野東京ライン開業といった華やかな話題、一方、トワイライトエクスプレス廃止、北斗星定期運行終了といった残念ではあるが注目を集める寝台列車の話題でもちきりの賑やかな鉄道に関するニュースの影で、実はかなり深刻な、それでいて、たぶん地元以外ではほとんど注目を集めていないダイヤ改変がある。

 

それは一部路線での列車本数大幅削減の問題だ。というと、東北や北海道あたりの過疎ローカル線の話であろうと早合点してはいけない。鉄道ネットワークが充実し、クルマ社会ではないと思われている首都圏、それも東京都内の路線での話である。

 

■都内とはいえ完全なクルマ社会

山深い武蔵五日市駅に到着する電車 

 

JR中央線の立川から分岐する青梅線。その拝島駅からさらに分岐し、武蔵五日市に至るのがJR五日市線である。11.1kmの短い路線だが、朝夕には、青梅線中央線経由で東京駅まで直通する快速電車も走る東京郊外の路線。全線単線ではあるけれど、電化され、中央線と同じ最新形のE233系電車で運行されている。

 

昼間は、20分毎、1時間3本だから、郊外それも都心からかなり離れた地域だから、これくらいの本数なら妥当かもしれない。ところが、2015年3月ダイヤ改変で、昼間の電車が大幅に減便され30分毎、1時間2本になってしまうという。

 

20分毎と30分毎では僅か10分の違いではあるが、個人的な感覚ではずいぶん不便になるという気がするし、時刻表なしで気楽に乗れるレベルではなく、ダイヤを調べてからでないと駅へ向かえないという感覚。いっそのことクルマ利用に変えてしまおうかという気になる、心理的分かれ目だと思う。

 

 

五日市線発車案内 

 

減便ということは、それだけ利用客が減っていて、ずいぶん悲惨な状況なのかな、と思い、この原稿を書くにあたり、わざわざ足を運んでみた。平日の昼間の拝島駅。20分毎にでている五日市線は新型E233系電車6両編成だった。各車両には、平均5~10名程度の乗客が乗っていた。

 

朝夕と違い高校生の姿はなく、高齢者や老若を問わず女性が目立つ。都内というよりは、地方のローカル線に近い状況だった。もっとも、この程度の閑散ぶりは、首都圏郊外の末端区間ならそれほど珍しいことではなく、東武や西武といった鉄道の支線でも同じ状況であり、五日市線特有のことではない。

 

五日市線の車内 

 

電車は拝島を出ると、熊川に停まった後、多摩川を渡る。2つ目の東秋留、秋川で多くの乗客が降り、終点武蔵五日市まで乗り通す人は確かに多くはない。個人的な話だが、30年ほど前にこの沿線の高校の教師をしていたこともあって、ひさしぶりに東秋留で途中下車。後続の電車で武蔵五日市まで向かったが、車内の状況は大して変わりなかった。

 

30年前よりも沿線はあか抜け、住宅も増えたようだが、駅から少し離れると田畑が目立つ。都内と言っても住宅地というよりは農村地帯のような雰囲気は変わらない。

 

往時も、都心への通勤や立川あたりでの飲み会参加以外ではクルマしか使わない人が大半だったから、都内とはいえ、この地域は完全なクルマ社会である。余談だが、かつての勤務校は1学年9学級だったのに、いまでは6学級。また、経済的状況もあって地元の自転車利用生徒が増えていそうで、五日市線利用の通学生は減っているようだ。