今すぐにという話ではなく、2020年というから東京五輪のある5年後の計画だが、JR中央線の東京から高尾(一部は大月)、青梅へ行く快速、特別快速電車にグリーン車を導入することが、先頃JR東日本より発表された。

 

これについては、多くの反響があり、賛否様々な意見をネット上でも読むことができる。だが、客観的に見れば、東海道・横須賀線のみに連結されていた普通列車のグリーン車(かつては1等車)連結が、総武線、高崎線、東北線、常磐線へと年月を経て拡大し、都心から5方面の郊外へ延びるJR線で唯一グリーン車とは無縁だった中央線に導入ということなのだ。だから、これでようやく全方位に同じサービスが行われるということで、JRにとっては悲願達成なのではないだろうか。

 

■良質なサービスに追加料金が必要なのは常識

 

よくグリーン車連結=「格差社会」の象徴のような論調を見かけるが、それは違うと思う。そんなことを言ったら、特急料金を取る特急列車だって格差なのではないか。別に乗車するのに地位や年収を問うわけではあるまいし、「ななつ星」のようなとんでもない料金を徴収するわけではない。

 

夜半に都心から郊外へタクシーに乗るよりも格段に安いわけであるし(50kmまで770円、51km以上980円、ただし平日の乗車前に購入する事前料金)、疲れた時や荷物が多い時にときたま乗るのであれば、プチ贅沢程度の料金である。良質のサービスを受けたいのであれば、追加料金が必要なのは、乗り物に限らず、どんな分野でも常識であろう。デフレ社会の価格破壊的格安料金に慣れ過ぎた人の偏向した考えである。

 

もっとも、こうした追加サービスは需要と供給があって成立するもの。高度成長期を過ぎ、首都圏の殺人的混雑の通勤電車を(毎日とは言わないまでも)忌避したい人がかなりいるからこそのサービスといえる。それなら、特急列車に乗ればよいのでは?という意見もあろう。しかし、中央線の場合、現状の特急停車駅(一番こまめに停まる列車)は、新宿から先、三鷹、立川、八王子、と停まっていく。

 

吉祥寺や国分寺、国立などの特急の停車しない駅を利用する人は乗り換えなければ特急利用はできなかったわけだから、これは朗報であろう。青梅線直通にもグリーン車を連結するとのこと。遠距離通勤客のみならず、週末に都心から青梅方面へ行楽で向かう人にとっても車内で飲食をしたり、向かい合ってのおしゃべりなど寛ぐことが可能になるわけだから、やや安いグリーン料金(ホリデー料金、51km以上780円)で済む週末の行楽利用も増えるのではないだろうか。

 

鉄道会社にとって、特別料金を徴収できるということは、運賃プラスアルファの金額を払ってもらえるので、増収策ともなる。グリーン券のチェックはかなり手間のかかる作業だったが、スイカでグリーン券を購入し、天井にタッチするシステムで係員の大幅な負担軽減となった。一方で、車内販売によるさらなる増収も少なからず期待できるので、グリーン車連結は「美味しい」作戦なのだろう。