今年最も印象に残った起業を上げますと、これは NHKテレビ「サラメシ」で見かけた株式会社ベルトランのトーマス・ベルトランさんです。フランス人で、今年京都市中京区に弁当箱の専門店 「Bento&co」を開業しました。子どものころから、日本のアニメや漫画を通して日本の弁当に興味をもち、2003年に来日しています。

当初ベルトランさんが考えたビジネスプランは、日本の弁当箱をネットでフランス語圏に販売するものでした。日本来て5年後の08年11月には、オンライン ショップを開設、販売を開始しています。世界的には、弁当箱と同様の用途で使われるタッパーがあります。しかし、おかずを区分けしたり、容器に模様がつく 弁当箱は日本だけです。

 

現在では、フランス語辞書にもBentoが載るほどで、ベルトランさんはショップ開業後、3年間で70カ国3万 個の弁当を販売したといいます。10年には英語版のネットショップを開設、11年になって初めて日本語版をスタートさせました。日本は、弁当箱を売ってい る場所が多く、開業当初からあまり期待していなかったようです。

 

京都という土地柄から観光客が多いことを考え、実店舗での開業には関心が ありました。そして今年4月7日には待望の店舗開業に漕ぎ着けました。現在ベルトランさんの他にスタッフは、発送担当、海外担当、ネット担当、経理担当な ど5人で運営しています。6人の会社で売上げ1億円ですから、これは立派な優良企業です。

 

私がこの会社の開業に注目したのは、弁当箱という誰も目をつけない商品を世界に向けて販売したことです。また、売上げが伸びても、急成長させないで徐々に体力をつけながら規模を大きくしている点で す。ベルトランさん以前にも弁当箱屋さんはありました。ただ、世界を相手にすることまでは考えなかったようです。まだまだ新たな市場は生まれます。

 

【一言】

日本文化に関して、日本人よりも詳しい外国人はいっぱいいます。逆に、日本人は日本のよさを知りません。日常でよく見ていますから、それが特別なものには 思えません。ただ、ビジネスにおいては、身近でよく見ている目と、遠く離れて、他の文化と比較できる目とが必要です。地方には、ビジネスの芽となりそうな 文化がまだまだありそうです。