「大仏商法」。観光客が多いので、進んで集客をしない。こうした非常に消極的な、奈良の商売人の姿勢を、「東大寺の大仏」にちなんでこう呼ぶ。

 

ハッキリ言うと、観光地にあぐらをかいた商売である。多くの店が夜は営業せず、主要駅周辺の飲食店でさえ、8時には閉店してしまう。

 

昔からそうなのかというと、違うようだ。花街もあり、その関連する店は夜も営業しており、かなり賑わっていたようである。

 

いつ頃から“大仏”になったのかは定かではないが、努力をせずとも人が来ることで、座ったまま待つようになった。その結果、奈良の夜は暗くなり、人びとの姿が消えた。

 

店が開いていないことで、日暮れから後に遊ぶ場所がなくなり、夜、奈良に滞在する理由がなくなった。すると当然、宿泊する人もいなくなり、宿泊施設も少なくなっていった。

 

外国人観光客が増えているいま、海外のガイドブックには、「奈良は3時間で充分」とまで、書かれるようになった。来てはくれるものの、昼間だけで充分な場所だと言われているのである。これでは、いくら“日本ブーム”でも、奈良経済にとってプラスにはならない。

 

一部の人は改善しようと試みているが、長年の習慣からは、そう簡単に抜け出すことはできない。

 

必ず比較の対象となるのが京都だが、比較する意味さえない。外国人観光客が、日本でもっとも好きな観光地は京都である。