サンタクロース(あるいは聖ニコラウス)というものが大陸欧州では本来的に冬のナマハゲ的な役割を背負った存在であり、「今年一年おまえは良い子であったか」と問うて返答次第でものをくれたり痛みを与えたりという、リアルにいたら若干ヤバくて怖いオッサンであることを考えると、現代のサンタクロース信仰はかなり商業的に都合良く修正されソフトランディングを迎えている。

 

まして日本は異教だわ異文化だわ、クリスマスは恋人同士で胡乱な行為に及ぶ日だと勘違いされているわ、焼き七面鳥じゃなくてファストフードの揚げ鶏をバケツ一杯食べるわ、「なにがサンタだ」という斜に構えた懐疑主義的態度があっても誰がそれを責めることができようか。日本でサンタだなんて地理的にも歴史的にも文化環境的にもむしろかなりの無理ゲーで、シラフで考えたら笑っちゃうのだ。

 

日本の現代のサンタは、「それぞれの家庭の味」的な、さまざまなバリエーションをもつ家庭内信仰でいいのだと思う。

 

「ウチにはサンタは来ないの。仏教徒だから」

「ウチはサンタは小学生まで」

「ウチのサンタは情操教育にいいものしかくれないからね。だってサンタだもの異論は受け付けない」

「サンタは遠いし忙しいから、リクエストは親に言いなさい。サンタに言っとくから」

「信じる子には、信じるかぎり、ちゃんとサンタが来るのよ……」

 

最後に、アメリカの大人気コメディ番組「ビッグバンセオリー」の脚本家、エリック・カプランの近著『Does Santa Exist?』でも、サンタの存在を掘り下げ、子どもに説明するためのさまざまな知的アプローチが試みられている。

 

サンタを信じない(そして彼の息子も5歳にして既に信じていない)著者カプランの見解として、サンタをめぐる子どもとの議論を前にした親の態度は「嘘つき」か「頭オカシイ(支離滅裂)」かに二分されると述べられている点は、世界中の親たちの混乱と苦悩を端的に表していて興味深い。

 

親の苦労と子どもたちの期待と。今年もクリスマスがやってくる。サンタを介した、親と子のコミュニケーションを楽しんでいただきたい。