■(その1)「サンタって本当にいるの?」という本質的かつ一番答えにくい疑問にどう答えるか。

→「逆に、なぜサンタは存在しないと思うのか」について、実存主義哲学的(『ある』とはどういうことか)または認知心理学的(あなたが見ているものとはあなたの脳が見せるものである)なアプローチをとる。最後はほぼ禅問答(心身はもとより一つの幻である)となるが強気で押す。

 

「サンタがいないと思うのはどうして? 『いない』ことはどうやって分かるの? では『いる』とはどういうことだと思う? あなたがいると思う限り、あなたの世界にはいるのよ。いないと思ったらいないの。幽霊と一緒で、見える人にとっては幽霊は真実味を持って怖いけれど、見えない人にはなんのこっちゃ寝ボケたんじゃないのと思うのと同じ。あなたが見るものはあなたの脳が像を結んだものに過ぎないのよ。そもそも人間もサンタも、実体というものは物質がたまたまその時に結びついて形を成したものに過ぎなくてね……」

 

■(その2)「サンタってどこに住んでいるの?」「なんでサンタはプレゼントくれるの?」「どうして世界中の子どもに一斉にプレゼントを配れるの?」など、幼い子の素朴な疑問にどう答えるか。

→比較宗教学的、文化人類学的な見地から、西欧におけるナマハゲ的民俗信仰との同時進行の関係性、及び西欧での玉虫色のサンタ観と時代性について言及する。

 

「サンタがそこに住んでいるかは、国や文化によって意外とみんな言うことはまちまちなのよ。北欧のラップランドだと言う人たちもいれば北極だって言ったり、要はまだみんなちゃんと突き止めていないのよ本当のところ。とにかく北の寒いところから来るから、あんな格好をしているの。あの怖ーいナマハゲみたいな大陸欧州カトリックの聖ニコラウスや、イギリス国教会のファーザー・クリスマスとも類似性を指摘されるけれど、みんな親戚よ。ローブが赤じゃなくて緑の国もあるわね。12月が夏の南半球では半そでのサンタもいるけど、あれは暑いから仕方ないわよね」

 

「サンタは道徳的な存在だから、『基本的に』一年間良い子だった子どもに、ご褒美としてプレゼントをくれるのよ。聖ニコラウスも、いい子にはプレゼントをくれるけれど、悪い子は木の枝でむち打ったり、連れ去ったりするから注意が必要ね。サンタはルドルフを筆頭としたトナカイたちと、そりで世界中の子どもにプレゼントを配って回るわけでしょう。当然サンタは一人じゃなくて手下のサンタクローンたちがサンタ本部でおもちゃを仕分けて、配送ルートに出すのよ。なんたって一晩しかないから、そりゃ凄い数のサンタクローンが必要よ。NASAのNORADのサンタ追跡ではサンタは1人だけど、あれは画面上アイコンがそうなっているだけで本当はスゴい数のサンタの群れなのかもねぇ……。万人にとって理解しやすく使いやすいテクノロジーの表現とはなにかを考えさせられるわね」

 

●NORAD Tracks Santa - History & Technology

 

■(その3)子どもが、高価なものや親が買い与えたくないものをサンタに頼もうとしている。どうやって思いとどまらせるか。

→サンタという存在を介した物流と市場の原則について、経済学的、経営学的な考察をする。

 

「世界中の子どもが一斉にサンタにリクエストをするシーズンに、例えばゲーム本体とかソフトとか、みんなと同じものをリクエストすると品薄になるのよ。クリスマス需要にぶつけるために発売されたようなゲーム類、ヒーローグッズは特にその傾向があるわ。すると、別のものが送られてくることがあるの。サンタの方針としては『クリスマスの日に』きちんと世界中の子どもたちの一年の善行に報いることが最優先事項だからよ。珍しいものも同様で、サンタがその日までに確実に入手できればいいけれど、そうでないと難しいわね。ニーズが集中したものは入手困難になる、これは市場の鉄則よ」

 

「サンタは魔法使いではないし、おもちゃメーカーでもないから、世界中の子どもたちからの一斉リクエストに応えるために、アマゾンやトイザらスのような民間企業の力を借りることもあるのよ。去年のあなたのプレゼントの包装紙がトイザらスだったのは、きっとそのせいね。あと、高価なものや年齢的に適切でないものは他の子どもとの公平性という点でサンタが賛成しにくく、別のもの、特にあなたがいかにも一切興味のなさそうなものと差し替えられがちだとも言われているわ。ちょっとリクエストを考え直して、確実に入手できてしかも自分の満足のいく選択は何かと探ってみてはどうかしら」