JR九州が2016年度までの株式の上場を目指しており、政府も容認するとの報道があった。不動産や外食事業など多角化が好調で、赤字が続く鉄道事業も含めて安定した経営が見込めると判断したからだそうである。

 

「赤字が続く鉄道事業」とあるので、何だかこころもとないと思う人もいるだろう。けれども、赤字とは言え、先行きが暗い赤字ではない。数々の新機軸を打ち出し、世間では注目を集めている。それゆえ、上場すれば投資家の興味をそそる企業たりうるとの読みがあってのことだろう。

 

具体的に見ておくと、観光列車の大ヒットがある。年末恒例になっている「日経MJ 2014年ヒット商品番付」が、このほど発表されたが、「観光列車」がランクインしているのだ。これは前代未聞のことであろう。しかし、2014年は、観光列車の当たり年といわれるほど、全国の鉄道で数多くの観光列車がデビューしたから、こうした事実をみれば誰しも納得するのではないだろうか。そして、その先鞭をつけたのはJR九州であり、著名なインダストリアル・デザイナー水戸岡鋭治氏の手になる個性的な列車が、鉄道旅行の魅力を多くの人々にアピールしたのは間違いのない事実である。

 

はやとの風

 

我が国初といわれるクルーズトレイン「ななつ星」は、登場して1年少々となったが、その高額な料金設定や、それにもかかわらず異常とも言える高い応募倍率で相変わらず話題になっている。もっとも、「ななつ星」自体の収支決算は決して黒字ではないそうだが、この列車を広告塔にして、他の観光列車の集客に貢献したのは確かだろう。肥薩線など、何も手を打たなければ廃止されたであろうローカル線の活性化に「はやとの風」「いさぶろう・しんぺい」「SL人吉」といった観光列車は多大な貢献をしている。そればかりか、建て替えても不思議ではない老朽化した木造駅舎の鄙びた嘉例川駅などを観光地にしてしまった逆転の発想も見事なものである。

 

嘉例川駅

 

しかも、全線開業して間がない九州新幹線と組み合わせることにより、多様なルートの設定が可能になった。九州以外の地域、さらには外国からの観光客を惹きつけるに充分な「魅力的な列車」という商品。「指宿のたまて箱」「A列車で行こう」という列車は、本来なら「新幹線+バス」という観光地へのアクセス手段を「新幹線+観光列車」という方程式に変えてしまったのである。