事故が報道されると、ネット上で拡散され、必ずと言ってよいほど、その後、悪者探しが始まります。大きなアクシデントは様々な偶然が悪い方向に重なり起こります。原因が何か……それは事故の調査委員会などしかるべき立場の人の検証なしには本当のところはわかりません。事故がこれ以上起こってほしくない、事故を無くしたい。そんな正義感から議論が過熱するのかもしれません。ただ、ネット上で議論しても、我々は所詮、その分野では素人であり、議論は水かけ論にしかならないと僕は考えています。

 

現場に携わった皆さんはそういう議論を見て、我々が想像する以上に複雑な気持ちになっていると思います。今はネットを多くの人が使う時代になり、間違った情報が拡散されることも多々あります。結局、事実が何なのかよく分からないまま、時間と共に議論は落ちついていきます。

 

人間の心とは勝手なものです。

 

モータースポーツに関わる人、モータースポーツを楽しむ人は、こういう時にこそ冷静で居ないといけないと僕は思います。事故が起こるまでは、危険なアクシデントは誰一人として、望んでいなかったのですから……。

 

できることは、無事に回復することを祈る。それしかできないのです。

 

ドクターを含むオフィシャルが日々の訓練により、適切な判断で救出をし、搬送先の病院で医療チームがしっかりと治療を行い、ケアをしてくれます。彼らの仕事を信じ、祈ることが唯一、僕にできることだと、今は考えています。

 

大きなアクシデントで怪我をし、ドクターヘリで搬送された選手が、サーキットに元気な顔つきでひょっこり現れた時、いつも言葉で言い表せない思いが頭を巡ります。

 

きっと、そんな時がやってくる。必ずやってくる。僕はいつもそう思うようにしています。