■芸術の意味とは、なんだ

「芸術的だ!」という言い方があるが、何を理由にしてそう判断しているか。人によって観点が違うと思われる。はたして、それに正解があるのだろうか。少し疑問に感じたので、いくつか調べてみた。

 

芸術家と同じようにモノを作っている人達に職人がいる。しかし、一方は作品であり、かたや商品となる。芸術家の作品も金銭でやりとりされるので商品と言えなくもないが、比較を明確にするために作品と商品に分けてみた。

 

その上で芸術家と職人の違いから、芸術の意味を探って行きたいと思う。

 

職人は、技術の習得が必然である。長い修行の末に獲得した卓越した技で商品となるモノを生産していく。その結果、ときに「芸術的だ」と言われることがある。それは、何を指しているか? 多くの場合は、卓越した技術、技巧を指していると思われる。

 

職人の場合、評価基準はその卓越の技術にあることは間違いない。そうでなければ価値ある商品にならない。しかし、技術が飛び抜けていた場合、それは芸術になるのか? といえば、少々疑問である。もし、そうであれば技術=芸術となってしまう。

 

では芸術家はどうか。芸術家も職人と同じく修練の期間が必要である。しかし、その目的は、職人と違って技術の習得が第一ではない。独自の表現をするための訓練期間である。なにしろ現代の芸術は、独創性が評価基準であるからだ。

 

しかし、独創性の評価基準は曖昧である。どこに基準があるかも分からない。技術の善し悪しは比較的判断しやすいが、独創性は観点によって違ってくる。この辺りの事情が大きな相違点か。芸術家は、どこを目指せばいいのか誰も教えてくれない。自ら開拓しなければならない。

 

言葉を変えれば、芸術家は宇宙空間に放り出された飛行士のようなものだ。何かにつかまりたいが、それさえない。頼りは自分自身の判断しかない。そんな感じである。

 

上記した内容を整理すると以下のようになる。

 

<職人の場合>
技術=職人の評価基準。これなくして職人とは言えない
独創性=二次的なものであり、重要視されない
成果物=商品(注文または一般に流通していく、数は多くない)
評価=主に一般消費者

 

<芸術家の場合>
技術=優先的ではない、あるに越したことがない程度
独創性=芸術家の評価基準。これなくして芸術家とは言えない
成果物=作品(一点もの、ないしは限定数)
評価=評論家、愛好家、投機家

 

上記したように芸術に関していえば、技術で評価されるものではない。では何かといえば、独創性にあるはずである。しかし、その独創性の評価基準が曖昧模糊であり、一般には分かりにくい。それ故に、冒頭に書いたような「芸術的だ!」という誤解が生まれる土壌があるに違いない。