2014年11月8日、中国・上海で行われたフィギュアスケートのグランプリシリーズ第3戦男子フリーの直前練習中に、羽生結弦選手が他の選手と衝突する事故がありました。その後、羽生選手は包帯を巻きながらも演技を遂行し、2位となりました。怪我をおしての演技に、「金メダリストの意地だ!」「感動した!」など賞賛の声があがっていますが、このことは本当に賞賛するべきことなのか、スポーツドクターであり、脳神経外科医である立場から解説したいと思います。

 

結論から先に言いますと、「絶対にダメ」です。繰り返します。「絶対にダメ」です。

 

もちろん、羽生選手の「怪我をおして演技をする」というアスリートとしての心意気は賞賛に値することではありますが、大会運営者や日本選手団の責任者は、断固として出場させるべきではなかったと思います。

 

衝突シーンをテレビで見ていたのですが、救護されているときの羽生選手の顔を見ると、うつろな表情で、いわゆる「脳震盪(のうしんとう)」を起こしていることは私の目から見て明らかでした。フィギュアスケートは優雅に滑っているのでスピードが出ていないように見えますが、実は最高速度は30km/hにも達しているそうです。

 

私はアイスホッケーを学生のときにやっていたこともあるのですが、氷の上で転ぶことは、本当に痛いんです。防具を着ていてもあの痛さなので、防具を着ていないフィギュアスケートの場合はかなりの衝撃を受けることになるでしょう。