先日の東京新聞に糖尿病の死亡率日本一の徳島県で、薬局で簡単に検査ができるようにする取り組みが進められているという記事が載っていた。

 

徳島は1993年以降、たまにトップの座を譲り渡した年もあるものの、ほぼこの20年近く、糖尿病死亡率全国1位の記録を続けている。
糖尿病の原因としては加齢、遺伝に運動不足と肥満があるそうだが、このうち、前2者は別に徳島に限ったことではなく、問題は運動不足と肥満。

 

地元紙の解説によると、地下鉄、電車などの交通機関がないため、徳島ではちょっとそこまでを車で済ませてしまいがちで慢性的に運動不足な人が多い、味付けが甘辛く、食事時にお茶ではなく、ジュースやコーラなどを摂る人が多いなど、太りやすい状況下にあるという。

 

ちなみに、徳島が突出してはいるものの、四国4県はどこも糖尿病に関しての成績は悪く、いずれも似たような状況が指摘されている。
うどん県香川でもうどん自体が悪いわけではないものの、うどんとご飯物をセットにして食べるのが悪いんじゃないか?

 

うどんを噛まずに食べるのがいかんのでは?などと売り物のうどんにも罪を着せるような言説があるらしい。
ところで、ある特定の病気がある特定の地域に多いのは糖尿病に限ったことではない。
濃い味付け、しょっぱい料理が好きな地域では塩分の取り過ぎ、カロリーオーバーに起因する心臓病や脳卒中が多いのはよく知られているし、朝食などに熱い茶粥を食べる習慣がある奈良の山間部や和歌山では喉頭癌や食道癌が多いとも聞いた記憶がある。
と、書いていて、ふと思った。

 

今でも茶粥ってそんなにポピュラーなのだろうか、と。
で、知り合いに聞くなどしてみると、郷土食としてよく食べられてはいるものの、さすがに作るのが面倒なせいか、毎日茶粥という家庭はだいぶ減っているようである。

 

茶粥と食道癌の関係が医学界で指摘されたのも50年ほど前のことで、医学関係者はすでに過去形で書いていることが多い。
実際、2010年の公益財団法人がん研究振興財団の調査結果を見てみると、奈良、和歌山の食道癌の死亡率はそんなに高いわけではない。

 

とすると、伝統の食が多忙さ故に減ったことが、罹患率を下げた結果になるのだろう。
県民の健康のためには良い結果である。と思う反面、微妙な気がするのは、食は地域の文化でもあるという思いがあるからである。

 

もちろん、だからといってものすごく塩っ辛いものを食べ続けたほうが良いとか、うどんとお稲荷さんばかりの毎日を良しとしたいわけではないのだが、日本中の味が健康第一で無難に平準化されるのもどうかと思う。

 

要はバランスなのだと思うが、うどんはのど越しと言う人に時々はよく噛んで食べなさいというのも難しかろう。
とすると……と考え始めると、おいしく食べて長生きという言葉の実践は意外に厄介なことなのかもしれない。