私ときたら、いい年こいてマンガやゲーム、映画、本といった趣味全般にお金を使いまくりなもんでして、長いこと、というか生まれて以来ずっと金欠状態が続いております。貯金残高を見るたびに溜め息を漏らし、竹やぶを見かければ「2億円入ったバックが落ちてないかしら」と期待し、年末ジャンボ宝くじを買えば「6億円当たっても浮かれすぎて身を滅ぼすのはダメだ。仕事はちゃんと続けて、老後を見据えて計画的に使おう」と我ながら頭を抱えるほど計画的ではない将来設計を立てたりする。典型的なダメ人間思考にトリコじかけの明け暮れでございます。

 

なんてことを、師走で周囲の人が慌ただしく働く社内で、ひとりその流れから取り残された風情でもんまりと空想しておりましたら、じつに目ざわ……いやいや、目を見張るような興味深い記事が飛び込んでまいりました。

社長が選ぶ2012年最優秀経営者、JALを再建させた稲盛和夫氏がトップ(Business Media 誠より)

 

記事の内容は、記事タイトルにもある通り優秀な経営者大賞的なもので、上場廃止した日本航空(JAL)を数年で立て直した稲盛和夫氏が1位に。評価の声には「利益だけを追求せず道理に則り原理原則で経営をしている」といったものがあり、私のような卑しい情念に支配された人間からすると、じつに癇にさわ……いやいや、関心しきりです。

 

しかし正直なことを申しますと、斯様に華々しい話題の主役たちは私のような怠惰が服を着て歩いているような人間にとっては「俺にとっちゃあ、……まぶしすぎるんだ。世界が違うんだな」<(C)スレッガー中尉>という感じであり、憧れはするけど、自分がそうなれるとは夢にも思いません。

 

なんかもっとこう、親しみやすい経営者はいないものだろうか。師走で周囲の人が慌ただしく働く社内で、ひとりその流れから取り残された風情で考えてたら……とある映画のキャラクターが思い当たりました。

 

その人の名はフアン。キューバ発にして初のゾンビ映画『ゾンビ革命―フアン・オブ・ザ・デッド―』の主人公です。日本では2012年10月~11月にかけて上映され、公開規模は小さいながらも好事家のあいだではけっこう話題になったようで、私が新宿武蔵野館のレイトショウで観た際は、公開から1ヵ月以上が経っていた時期にも関わらずほぼ満席という状態でした。

 

主人公フアンは40代バツイチの無職。親友で同じく無職のラサロといっしょに釣りをしたり、ときには人妻との情事に耽ったりなど、怠け者の私から見ても「ダメな人だなぁ」と感じる、自由気ままにも程がある暮らしを送っております。そんなある日、彼らの住む街でゾンビが発生&アウトブレイク。陽気なラテン音楽に満たされていた海岸沿いの街は、一瞬にして人々の叫びで満たされることになります。そんな危機的状況の中で、フアンとラサロのダメ親父たちはある行動に出る。ゾンビ駆除請負いです。

 

彼らの仕事ぶりたるやじつに爽快で、フアンは手裏剣にヌンチャクと男子の煩悩直撃なアクションを繰り出し、太鼓腹のラサロは鎌の二刀流でゾンビを刈り(狩り)まくる。ほかの仲間たちも、バットでジャストミートするラサロのバカ息子(イケメン)、百発百中のパチンコ術を持つオネエ系(美脚)、血を見ると気絶してしまう怪力男(常に目隠し)など濃すぎる面々が揃っていて、男であれば「俺もこんな職場で働きてー!」と興奮すること請け合いです。

 

ピンチはチャンス、とはよく言ったものですが、このボンクラ仕事が大成功(たまに間違って依頼者も「駆除」してしまうのはご愛嬌)。つぎつぎに依頼が舞い込みます。つい先日まで無職だったフアンもいまや立派な経営者。ゾンビ討伐術のセミナーなんかも実施するほどにまで成長し、血の滲んだランニングシャツも、心の目で見ればベルサーチのスーツに思えるほどヤンエグな風格を漂わせています(言い過ぎました)。

 

私はこの映画を通じて、“適材適所”というビジネスのビジョンを得ました。どう考えても私は、一般的な社会で経営者になれる器にありません。しかし、もしゾンビが発生した暁には、『ゾンビ革命』で得たビジネスへアイデアを活かして、迅速な取り組みで市場において存在感を発揮したいと思う次第です。

 

でも、ゾンビ映画好きな人ってそれこそ無数にいるから、競合が多そうだなあ……。やっぱ暫くは下働きでいいです。

『ゾンビ革命―フアン・オブ・ザ・デッド―』の公式サイト