もうひとつとは、『新築持家ステップアップ思考』と並ぶ、『住宅に対する新たな基軸』をつくっていくこと。

 

『新築持家ステップアップ思考』とは、私が勝手に考えた造語です。賃貸住宅→分譲や新築住宅と、人生のステージと共に住宅もステップアップさせる考え方。

 

くれぐれも、誤解なきようにお願いしたいのですが。私はこの『新築持家ステップアップ思考』はダメですよ。といっているのではありません。建築家にとっても建主の方との新築住宅の計画は、アグレッシブでやりがいのある仕事です。

 

ただ、住宅のあり方がこの選択肢だけ、というのもまたつまらない。建築家をはじめとする住宅を造る側の者は、建築を計画する前に、ライフスタイルのあり様も提案し、選択肢をも示す義務もあるのではないだろうか。そんな思いもあるのです。

 

豊かさとは、選択肢の多さ(多すぎるのは、よくありませんが)だと考えるからです。たとえば(これは私の抱く、まだおぼろげながらのアイディアではありますが)『長期定住型賃貸集合住宅』。入居者の生活スタイルや家族構成の変化に対応した、終の住処となるプライベートスペース。コミュニティーが付加価値であり、入居していることにステイタスのある賃貸式の集合住宅。庶民的なレベルで、こんな21世紀の『同潤会アパート』のような住宅ができないだろうか。

 

空き家問題は、ネガティブで深刻な問題ではありますが、見方を変えて、新しい住宅のあり方や価値観を考えてみる、きっかけとするべきでしょう。