いやまあ、人様の文章についてあれこれ言えるアレではないし、たいへんおこがましいと重々承知しているのですが、最近ネットのニュース記事でやたらと目にして、そう思い始めるとやたらと気になるフレーズがあります。それは、記事の締めくくりの段落で使われる「いかがでしたか?」。ニュースサイトの中には、もしかしてそう締めくくるのが決まりになっているのかと思うぐらい、頻繁に登場するところもあります。

 

使いたくなる気持ちは、わからなくもありません。文章を書くときには、いつも締めくくりに苦労します。ひとしきりああだこうだ言ったあとで「いかがでしたか?」と問いかけておけば、無難にまとまりそうだし、心地よい余韻を残せる気もします。

 

べつに紙媒体とネット媒体を対立させようとか、比べてどっちがどうと言う気は毛頭ありませんが、紙媒体で記事の最後のほうに「いかがでしたか?」と書いてある例は、知っている限りでは見たことがありません。しかし、ネットの記事ではしょっちゅう見かけるし、何となく収まりがいいようにも見えます。この違いはどこにあるのでしょう。

 

ネットで記事を読み進むためには「下にスクロールする」という作業が必要であり、ちょっと指がつかれたころに「いかがでしたか?」と言われると、ねぎらわれている気持ちになるのかもしれません。また、全員ではなくごく一部ですが、記事に対して最初から「アラ探ししてやろう」「ツッコミを入れてやろう」という姿勢で読む方がいることを視野に入れて、締めで「いかがでしたか?」と下手に出ることで何かを防御しているのかもしれません。あるいは、書き手の側が諸般の事情でスピーディに原稿を仕上げる必要があって、いちいち締めに頭をひねっていられないからかもしれません。

 

「いかがでしたか?」というセリフは、使う状況によっては、相手に大人力を強いることになります。初めてベッドをともにして、ひと段落ついたときに、彼もしくは彼女が「いかがでしたか?」とは言わないまでも、「どうだった?」と聞いてきたら、賞賛の言葉を返すしかありません。レストランで食べ終わったタイミングでシェフが登場し、おもむろに「いかがでしたか?」と聞かれた場面で、料理の味に文句をつけられる人は少ないでしょう。そういう高級なレストランには行ったことがないので、想像の域を出ませんが。