「男が外で仕事をして、女は家を守る」というのはいわば“戦時中のスタイル”である。

 

戦争になればどの時代でもどこの国でもそういう分業体制が敷かれる。日本の場合、鎌倉時代以降ずっと軍事政権であったから、たしかにその伝統が根強い。それでも江戸時代までは、戦いは主に武士の仕事であって、農民たちは男女の分け隔てなく働いていたのだが、明治時代の富国強兵政策によって、男はみんな戦争に行くものとされた。文明開化とともにそういうライフスタイルが定着し、しかも急速に経済が発展していったためにそのスタイルから脱却できなくなった。だから戦争が終わっても久しくは、男は戦場に赴き、女が家を守るというスタイルが続いた。「兵隊さん」という呼び名が「企業戦士」という呼び名に変わっただけである。

 

1980年の時点では、夫がサラリーマンである世帯のうち共働き世帯は約3分の1しかなかったが、2000年以降は共働き世帯数がそうでない世帯数を上回り、その差を年々広げている。いいとか悪いとか、自然とか不自然とかいう問題ではなく、これが実態である。

 

ところで、「共働き」というと、専業主婦がまるで働いていないかのような錯覚をもたらしそうなので、「共稼ぎ」と言うほうがいいように思う。いや、それにしても、「共稼ぎ」ではない家庭を何というのかという問題にぶつかる。「片稼ぎ」? 適当な言葉が思いつかない。だからここでは「共稼ぎ」のことを「ダブルインカム」、「片稼ぎ」のことを「シングルインカム」と呼ぶこととする。

 

というわけで、この違いが子育てに与える影響を考えてみたい。