……そんな日が数日続いたある日。

 

自暴自棄気味なボクは、叫び声にも似た電話の出方にも、違和感がなくなりはじめた。感覚がマヒしたのかもしれない。慣れって怖いものだ……。

 

その上司が事務所にいたので、いつものごとく、

 

「ありがとうございます! ○○不動産の楯岡がお受けいたしますっ!」

「ありがとうございます! ○○不動産の楯岡がお受けいたしますっ!」

「ありがとうございます! ○○不動産の楯岡がお受けいたしますっ!」

「ありがとうございます! ○○不動産の楯岡がお受けいたしますっ!」

 

と叫び続けいたところ、あまりのやかましさに嫌気がさしたのか、

 

「ありがとうございます! ○○不動産の楯岡が……」

 

上司:「うるせええええええええええええええええ!」

 

(ええええええ!?)

 

意外な一言に一瞬頭が真っ白になり、途方に暮れた。

 

(自分がやれって言ったのに。どうしろと?)

 

と戸惑っていると、

 

RRRRRRRR……

 

電話が鳴った。

 

(どうする? どうする?)

 

と考える間もなくとっさに受話器に出たボクは、

 

ボク:「あ、ありがとうございます……。○○不動産の楯岡がお、お受けいたします……」

 

と、普段のテンションよりかなり低めで、今までなら確実に怒られるであろう控え目なトーンで、上司を横目にチラリと見ながら恐る恐る電話に出たところ……なにも言われない!

 

それ以後も何も言われない(笑)。これをきっかけに、このテーマで怒鳴られることはなくなった。