鉄道業界用語というものがある。その中でも一見意味不明だが面白いのは、電略(電報略号)と呼ばれるもので、通信手段の主力が電報だった時代、漢字が使えなかったので、カタカナの略号で連絡を取り合っていた頃の名残である。今では電報を使うことはほとんどないけれど、簡便な略号は今でも日常的に使われているし、業界用語を好む鉄道ファンの間でも合言葉のように用いられている。

 

略号はカタカナ2文字で、例えば「ウヤ」は運休のこと。運(ン)休(スミ)と読みを言い換えて、その頭文字をつなげたものだ。鉄道ファンの間では、「今日の予定はウヤ(キャンセル)」のように日常的に使われる。

 

「レチ」は、列車(ツシヤ)乗務員(ヤウムイン)、簡単に言えば車掌のことで、濁音のにごりは言いにくいので、レチになった。専務車掌のことは「カレチ」。但し、彼氏とは何の関係もない(笑)。

 

「サボ」というのも鉄道ファンの間では日常的に使われるが、仕事や勉強をサボるとは何の関係もなく、列車の行き先標示板のことだ。蒸気機関車の時代には、行き先は先頭や最後尾には書いてなくて、客車のサイドにのみ書かれていたから「イドード」の略という説が有力だ。あるいは「サインボード」「サービスボード」の略との説もあるが、真偽は分からない。

 

駅名も、ほとんどカタカナ2文字で略される。東京(トウ)、品川(シナ)、横浜(ハマ)、名古屋(ナコ)、大阪(オサ)といった具合で、言われてみれば何となくわかる。これらは、電車、ディーゼルカー、客車の所属を表す記号として旅客車両の片隅に書かれているので、ホームなどで見たことがある人もいるのではないだろうか? 「東トウ」=東京総合車両センター、「東オク」=東京支社尾久車両センター、「宮ウラ」=大宮支社浦和電車区、といった感じである。