企業のトップに関わらず、世襲をめぐってはとにかくネガティブなイメージが強いもの。日本と同じアジアでいうと、シンガポールは、一党独裁であること、またそれにともなう諸々の政策から、「明るい北朝鮮」と揶揄されることも。しかし優秀なリーダーのもと、建国以来、異例の発展を遂げたこと、国民がその恵みを享受してきたというのはまぎれもない事実なので、「ついていけば間違いない」というのが大方の考え方のようです。

 

シンガポールの礎を築いたのは、長い間同国の首相をつとめてきたリー・クワン・ユーさんなのですが、現在は息子のリー・シェンロンさんが首相を勤めています。同族支配体制ともいわれる現状について、リー・クワン・ユーさんは、「おのおのの能力に見合った地位に置いている」とおっしゃっています。

 

ただそのシンガポールも、昨年40年ぶりに暴動があって、本当に驚きました。同地に3年近く住んでいた人間としては、「まさかあのシンガポールで?」という感覚です。とくに事件が起きたのはインド人街の近くで面白いものがたくさんあるので、在住の日本人も頻繁に出かけるようなエリアで、まさに他民族国家の同国を象徴するような場所なのです。

 

東南アジアで異例ともいえる発展を遂げてきたこの国の抱える問題のひとつ、外国人労働者の問題がついに噴出したのではとも言われていますが、今後この件に関して、リー・シェンロン首相がどのような舵取りをしていくのか、子どもに首相の座を譲った父親の判断は間違っていなかったのか、興味深いところです。