■報道的役割を失うテレビ局
テレビで放映されない大雪に関する情報は、主にソーシャルメディアを通じて得られるようになった。Twitterなどでは生命の危機を感じている人達の声がどんどん上がった。雪の状況を市民から吸い上げ、行政が発信・対応するケースも見られた。そしてソーシャルメディアでのニュースが大きくなっていくと、人々は五輪を見ている場合ではないほど甚大な被害を受けている地域があることに気づき始めた。

 

テレビ各局は、こうした状況を受けて報道するようになったが、五輪中継を止めることはなかった。なぜなら数百億円にのぼる五輪広告をストップすることは、4年に1度のチャンスをフイにすることになるからだ。

 

テレビ局が歴史的大雪によって失ったものの一つは、報道機関としてのポジションだ。情報自体もなく、発信するスピードも遅い。このような非常事態にこそ、必要な報道機関としての役目をテレビ局は自ら放棄したのだ。

 

■広告的価値を失うテレビ局
報道機関としての役割だけでなく、広告としての価値も失った。2月8日から2月20日に至るまで、企業価値を著しく上げたのは五輪のスポンサーをしている企業ではない。企業価値を上げたのは、歴史的大雪に際して、素晴らしい対応をした企業だ。

 

例えば、甲府市で立ち往生した車の列にいた山崎製パンのトラックドライバーは、その荷台にあったパンを、周りの困っている人達やサービスエリアの人達に振る舞った。この対応は発生から24時間で19,000ツイートを超え、賞讃の声が相次いだ。その後、Twitterでの状況を見た読売新聞などのメディアが、この事例を取り上げるようになった。

 

PR業務をしていると、ニュースを広告費に換算する。通常、この手のニュースならば、主要ネットメディアや新聞で取り上げられ、テレビの情報番組で取り上げられ、広告費換算で5〜10億円程度になることが多い。しかし、今回のケースではテレビ局であまり取り上げられなかったために、広告費換算だけで言えば約2億円程度になるだろう。

 

しかし、それは理論上の数字でしかない。後ほど述べるが、広告費換算には内容の良し悪しやレベルは考慮されない。つまり、単純にどれだけの秒数、段数、ページ数、PV数になったのかという話でしかない。実際には約2億円程度の価値ではおさまらない価値が、今回のニュースにはあったのだ。確実に山崎製パンのブランド好意度は上昇した。

 

それだけではない。2月14日に1110円程度だった株価は、その後1170円程度まで上昇した。金額換算すれば、130億円程度の上昇だ。

 

もう一つ、事例を紹介したい。スズキジムニーだ。