居酒屋さんのお通しって、値段のあるようでない、お店からのサービスなんですよね。お店によってはお通しも一種類じゃなくていくつも用意してあったり、何種類もある中から3つ選んでくださいとか、旬の食材を使って季節を感じられる品を出してくれたりとか、お店や店長さんの粋なはからいの一つの形です。

 

もちろん「お通し代」はかかるかもしれないけど、それがテーブルチャージ代になってるわけだし、絶対必要なものなんです。中には「お通しいらないから、会計からお通し代引いといて」なんていうお客様もいますが、そういうことじゃないんです。

 

ウチの近所で、鎌倉野菜を使ったメニューが売りの、お気に入りの居酒屋さんがあるんですが、今の時期だとお通しで「セイコガニ」を出してくれるんですね。1人ずつに蟹1杯って素敵ですよね〜。テンション上がりますよね〜。

 

そういう旬の食材なんかが出てくると、それが話題になったり、雰囲気もよくなりますよね。お店とお客とのコミュニケーションにもつながるし、そういうやり取りが、居酒屋さんとか小料理屋さんとか、お酒を飲む場の楽しみ方の一つでもあると思うんです。

 

私は個人的にお通し大好きですし、自分が夜のお店で働いていた時は、料理の勉強はお通しからでした。

 

働き始めの頃はまだ10代で、オネエの端くれとして料理くらい覚えたいと思ってたんですが、最初はお客様からお金をいただくフードメニューは作らせてもらえないんです。なので、先輩のオネエさんと一緒にスーパーに行って食材を買うところから、コストが安く量が作れるもの、旬を感じられるもの、彩りや見栄えのいいもの、営業時間の最後までもつもの、作り置きができるもの……色々なことを教わりながら一緒に作りました。

 

そうやって自分の作ったお通しが、お客様に食べてもらえて、なおかつ美味しいって言ってもらえた時は本当に嬉しかったです。