産科の外来をしていると、妊娠の初診時に「いつ頃、出来たのでしょうか?」と問われることは珍しくない。正確な統計はないが、100人中に数人はいる。特に最近増えた印象はなく、昔から変わらない。

 

個人情報に深入りすると自らの首を絞めることになりかねないので、「あなたの周期からすると、排卵日はこの日あたりですが、精子は1週間近く生きてますから、特定は難しいですねぇ」と、サラッと説明する。本人には一番の関心事かもしれないが、誰々と付き合って、いつ行為があったと詳しく聞いたところで、この時点では特定できないのだ。

 

かつての親子鑑定も、法医学教室などで主に血液型を組み合わせて「父親である確率は何%」と判定し、ある程度のあいまいさがあった。

 

ところが近年、より正確なDNA分析による鑑定を民間会社が行うようになり、様変わりしてしまった。中には、面談もなく結果報告を受けることができるものもあり、日本法医学会が「親子鑑定についての指針」を示してはいるが法的拘束力はなく、この流れは避けられそうにない。