昨年末、カメラマン2人のトークショーに行った。ひとりは、そのギャラリーを運営している人で瀬戸正人さん。昔、しばらくの間、一緒に仕事をしていたことがあり、新宿ゴールデン街でだらだら飲んで、森山大道さんの髪の毛をちょんぎったり、まあ、おかしなこともいろいろやらかした記憶がある。

 

ところで、私は一緒に仕事をしたことのあるカメラマンさんの名まえを聞くと、必ず、一枚、最も自分の印象に残っている写真が浮かぶのだが、瀬戸さんの場合のそれは高額な賃貸マンションの、擬宝珠のような緑の石の飾りがついた、階段の手すりを撮った一枚である。

 

テーマは高額マンションの、質の高さを伝えるというものだった。普通の人なら、たいてい、室内を撮るだろう。広さや、設備の豪華さ、眺望の良さなどの写真に質を語らせようとするだろうと思う。瀬戸さんの写真の中にももちろん、そんな絵柄は含まれてはいたが、それよりなにより、手すりの写真が圧巻だった。説明しようとしていないのに見たものに伝わる写真。

 

すごいなあと思った。そして、その一枚を1ページ全面に置くデザインで、記事を作った。