電子書籍元年と言われた2010年から2年がたち、いまだにこれほどまで広がりを見せないと予想した人は少ないように思う。

 

価格やビジネスモデルはさることながら、技術的にも統一した規格や方式が確立されず、といっていつぞやのSonyのように独自方式を貫く民間も現れていない。先日楽天がEPUB3規格を採用しているKoboを買収したことくらいが大きな動きで聞くくらいである。

 

そもそも電子書籍というか書籍の電子化に一石を投じたのはGoogleである。Googleがすべての書籍の単語を検索対象にしようとしていたことは広く知られているが、結局その過程で著作権の交渉を行ったのは出版社ではなく著者であった。

 

出版社はGoogleがその目的を達せないように抵抗したが、利害を共有する交渉する相手たることはできなかった。日本市場は言語の壁もありGoogleの意のままにはならなかったが、結果的にその過程において、出版社が電子書籍の基盤たる立場にいなかったことを露呈してしまった。

 

日本市場に電子書籍が普及するには、大きく次の点がクリアされなければならないと思う。

1.書籍規格の統一化

2.出版社のトータルマネジメント

3.著者がコントロール可能な費用構造の確立

 

書籍規格については、前述のEPUB3が秀でているが、対応するビューアの不足など、問題も多い。しかし、構造的にはEPUB3はただのzip圧縮形式であり、そのほとんどはHTML5による文書構造とCSSによる表現方式の規定というWEBにて一般化された方式である。そこにパッケージング用ファイルが付加されているだけであるので、この方式がデファクトスタンダードになれば広がるスピードも加速化するのではないかと思う。

 

次の出版社については、現行の利益構造を見直す必要があると思う。本の書籍で必要な印刷・流通を主とした固定費と印税その他や経費を除いて利益を本から取得するという現状のビジネスモデルを電子書籍の市場に持ち込むのは限界がある。電子書籍については、極端な例でいえば本そのものを無償で配布し、著者の知名度や認知度を上げ、別途開催するイベントや講演会で利益を上げる。そのマネジメント全般を出版社が担うといった考え方の転換が必要だと思う。

 

最後に、著者のコントロール可能な費用構造である。現状の数パーセントの印税を目的とした執筆というのは、当然本の形の一つであり続けると思うが、前述のように講演会などで利益を上げられる著者や、本の出版で間接的に本業の利益を上げる著者など、印刷や流通コストを限りなく0にできる電子書籍には無限の可能性を選択できるようにしていく必要があると思う。

 

上記は、来年の今頃には当然のことになっているとよいのだが。